熊本国体から四半世紀…「ひのっこ」は今 出迎え、交通安全に一役… 

熊本日日新聞 2024年11月4日 17:00
熊本県立総合体育館の正面入り口に設置している「ひのっこ」人形と井坂文子館長(左)=11日、熊本市西区
熊本県立総合体育館の正面入り口に設置している「ひのっこ」人形と井坂文子館長(左)=11日、熊本市西区

 10月中旬まで佐賀県で行われた国民スポーツ大会(旧国民体育大会)。25年前の1999年には熊本県で第54回国民体育大会が開かれた。当時、大会を陰で支えたのが3体のマスコット「ひのっこ」。くまモンの登場で鳴りを潜めたが、各地で〝余生〟を過ごしていた。

 「目が大きくてかわいい。何だろうと、知らない子どもたちは興味津々ですよ」。熊本市西区上熊本の県立総合体育館。正面入り口で来館者を出迎える「ひのっこ」人形の〝健在〟ぶりを井坂文子館長(50)は話した。

子安河原観音公園の一角に立つ「ひのっこ」。奥は子安河原観音=15日、阿蘇市
子安河原観音公園の一角に立つ「ひのっこ」。奥は子安河原観音=15日、阿蘇市

 「ひのっこ」は、情熱を表した赤色の「ヒックル」、水の申し子「ミックル」、木をあしらった緑色の「モックル」の3体の総称。同体育館は手入れを欠かさず、ほぼ当時のまま。柔らかな表情は月日の流れを感じさせない。

 同じ御影石調の台座に載った3体は、八代市の県営八代野球場にもある。関係者によると、十数年前、屋内から屋外の三塁側大扉入り口に移された。「まだ置いているの」と驚く人も時々いるそうだ。元々置かれていた場所には現在、米大リーグ・大谷翔平選手の日本代表レプリカユニホームが飾られている。

 3体の勢ぞろいは、上天草市大矢野町維和の桜・花公園や阿蘇市乙姫の子安河原観音公園でも見られる。

人吉市の広域農道の横断歩道で通行人らを見守る「ひのっこ」=13日、同市
人吉市の広域農道の横断歩道で通行人らを見守る「ひのっこ」=13日、同市

 上天草市のものは元々、熊本国体の競技会場だった同市の体育館に保管されていたらしい。2007年頃、維和地区のまちづくり団体が引き取った。阿蘇市のものは台座に公園名が記され、国体とは関係なさそうな〝変身〟ぶり。一帯を管理する同観音氏子会は「笑顔に和まされる。大切にしたい」。

 人吉市鬼木町では、交通安全に一役買っている。広域農道(通称・フルーティーロード)の横断歩道には、歩行者を見守るように1体ずつ配置されている。ミックルは黄色に塗り直されて存在感を放ち、通行車両に注意を促している。

長洲港の駐車場の片隅に横たわるモックル(左)とミックル=9日、長洲町
長洲港の駐車場の片隅に横たわるモックル(左)とミックル=9日、長洲町

 一方、悲しい運命をたどる「ひのっこ」も。フェリーの乗降客でにぎわう長洲港(長洲町)の片隅には、ミックルとモックルが横倒しされている。近くの看板の裏にはヒックルがひっそりと置かれ、赤色だった体は茶褐色にあせている。同町によると、国体のPRのため台座ごと複数購入したうちの一つ。大会後、管理されなくなったという。

 「ひのっこ」はほかに、県の施設などでも保管されているようだ。県民挙げての一大イベントから四半世紀。各地で探してみて、ちょっぴり当時に思いを巡らせるのはいかが。(地方都市圏担当取材班)

上天草市大矢野町の桜・花公園に移設された「くまもと未来国体」マスコットひのっこ。ヒックルが2体ある=10月9日
上天草市大矢野町の桜・花公園に移設された「くまもと未来国体」マスコットひのっこ。ヒックルが2体ある=10月9日

RECOMMEND

あなたにおすすめ
Recommend by Aritsugi Lab.

KUMANICHI レコメンドについて

「KUMANICHI レコメンド」は、熊本大学大学院の有次正義教授の研究室(以下、熊大有次研)が研究・開発中の記事推薦システムです。単語の類似性だけでなく、文脈の言葉の使われ方などから、より人間の思考に近いメカニズムのシステムを目指しています。

熊本日日新聞社はシステムの検証の場として熊日電子版を提供しています。本システムは研究中のため、関係のない記事が掲出されこともあります。あらかじめご了承ください。リンク先はすべて熊日電子版内のコンテンツです。

本システムは「匿名加工情報」を活用して開発されており、あなたの興味・関心を推測してコンテンツを提示しています。匿名加工情報は、氏名や住所などを削除し、ご本人が特定されないよう法令で定める基準に従い加工した情報です。詳しくは 「匿名加工情報の公表について」のページ をご覧ください。

閉じる
注目コンテンツ
熊本のスポーツ