コメの価格、本当に高いの?消費者物価指数の推移を振り返ると…【電子版限定】
新米が本格的にスーパーなどの店頭に並び始めた。ただ品薄状態は続いており、小売価格もここ数年と比べると高めだ。もっとも近年は、食品を含めてあらゆる物やサービスの価格が上昇している。コメは本当に高いと言えるのだろうか、消費者物価指数の推移から考えてみた。
総務省が発表する全国消費者物価指数(2020年=100)で、全体の値動きを示す「総合」と、「米類」を比較した。
2024年8月は「総合」が109・1なのに対し、「米類」は122・1。新米が本格的に出回り始める前の〝端境期〟であったことに加え、台風発生や南海トラフ地震臨時情報で消費者の買いだめが発生したこともあり、冷夏で凶作だった1993年産の影響が出た94年度(132・1)以来の高水準だった。前年同月と比べた上昇率は総合の3・0%に対して米類は28・3%と大きさが際立つ。
ただ、米類の推移だけを追うと、1990年代の水準に戻ったという見方もできる。特に2020年度から23年度は、物価全体が上がっているのに対し、米類の低迷が目立つ。生産者からは高騰する農業資材などの価格を転嫁できていないと訴える声も出ていた。ここ数年はコメは割安だったと言えるだろう。
もっとも、1990年度以降で振り返ると、コメ価格を維持するための生産調整(減反)を行っていた(2017年産を最後に廃止)にもかかわらず、物価全体に対する米類の割高感は修正されていくことが分かる。食生活の多様化や少子高齢化による消費減少が主因だが、割高感から購買意欲が低下したことも影響したのではないかと考えられる。
このように考えると、足元のコメの大幅な値上がりは一過性である可能性が高い。今後、新米の流通量が増え、極端な品薄は解消に向かうとみられる。物価全体と比べた割高感は長くは続かないのではないだろうか。(田上一平)
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