【電子版限定】高校野球で活躍するなら軟式か、硬式か- 今夏のデータで見える結論は?
高校野球で通用するのは軟式出身か硬式か-。野球ファンでよく話題になるテーマだ。中学部活動がさかんな熊本では以前、軟式出身が多かったが、近年は硬式出身の活躍も目立つ。今夏の全国高校野球選手権熊本大会のデータや、指導者らの意見を聞くと、ある結論が見えてきた。
熊本の場合、小学生はほぼ全員が軟式野球のチームに所属するが、中学で岐路に立つ。中学校の野球部に入り軟式を続けるか、熊本県内のシニア・ボーイズリーグに所属して、高校と同じ硬式を始めるか、だ。2023年の中学総体から参加要件が変更され、地域クラブに所属して軟式を続ける選手も出てきている。
「高校で活躍するためには」と頭を悩ませる選手や保護者が中学進学時、所属先を決める要素はいくつかある。通学する中学校に十分な部員がいるか、自宅近くにない地域クラブや硬式チームへの送迎が可能かもその一つ。
そこで今夏の全国高校野球選手権熊本大会で8強入りしたチームを分析した。全8校の最後の試合でスターティングメンバーだった計72選手のうち、半数超の37人が硬式出身だった。
チーム別で見ると、硬式出身者が最も多かったのは有明で全9人が該当。次いで優勝した熊本工(8人)だった。一方、45年ぶり4強入りして旋風を巻き起こした天草工は全9人が軟式出身で、準優勝の国府も8人が占めた。甲子園常連で今夏4強の九州学院は9人中5人が硬式出身だった。
熊本工の田島圭介監督は「硬式出身の方が入学時から扱いに慣れている」と、即戦力で起用しやすい点を挙げる。確かに今回、8強以上のスターティングメンバーに名を連ねた1、2年生計28人のうち、約6割の17人が硬式出身だった。
国府の山田祐揮監督も「硬式出身者はレベルが高い」と認める。国府は軟式出身者がレギュラーを固めて今年のセンバツにも出場したが、「野球塾『PBA』(熊本市)出身が多い。中学時代から硬式の練習試合も経験していたから」と打ち明ける。PBAに通ったエースの坂井理人や野田希主将が高校1年夏から活躍したのも肯ける。
軟式出身者は活躍しづらいのだろうか。開新の中川恭士郎監督は「かつては中学部活動で毎日練習する軟式出身の子が体が強かった。部活動改革で中学が先細りしていて、状況が変わってきた」と解説する。
一方、準々決勝以降に登板した投手を見ると計22人中、約6割の13人が軟式出身だ。九州学院で主戦を務めた1年生左腕福本朋胤など1~2年に限っても7人中4人が当てはまる。投手に限れば軟式出身も遜色ない。
ある学童野球の指導者は「硬式出身は、高校入学時に肩や肘の故障を抱える子が多いと高校の指導者から聞いた」と話す。
今夏の結果を踏まえると、高校1年から野手で活躍したいなら硬式、投手なら軟式でも十分通用する、と言えそうだ。この流れが今後、さらに加速する可能性を指摘する声もある。(高橋俊啓、宮﨑達也)
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