「地区防災計画」熊本市で作成広がる マップ配布で意識向上も 地域住民主体、12校区で完了
熊本市で、地域住民が主体となる「地区防災計画」作りが広がっている。これまでに市内92校区中12校区で作成が完了。計画を基に避難場所などを地図上に示した防災マップを戸別に配布する校区もあり、地域の防災意識の向上につながっている。
都道府県や市町村は、災害に備えるために地域防災計画を策定している。地区防災計画は〝校区版〟に当たり、地区の特性に応じて自由な内容で計画を作成することができる。
南区の飽田3校区(飽田東、飽田西、飽田南)の防災連絡会は2023年度、地区防災計画とともに校区単位の防災マップをそれぞれ作成。24年度にマップを各世帯に配布した。想定される自然災害や警戒レベルごとに取るべき避難行動などを明記している。
マップはA3判の一枚紙。校区の地図に避難場所が示されており、自宅や避難ルートを書き込めるようにした。裏面には、避難時に必要な食料品や生活用品をメモしておくコーナーもある。家族で話し合いながらマップを仕上げることで、防災意識を高めてもらう狙いがある。防災連絡会は参加型の学習会を複数回開き、マップに盛り込む内容を決めたという。
飽田西校区防災連絡会長の西村清次さん(72)は「校区は熊本地震でもほとんど被害がなかったが、災害は全国あちこちで起きている。マップは家に貼ることができ、地域の防災意識の向上にもつながる」と話す。
同じ南区の天明4校区(中緑、銭塘、川口、奥古閑)も、地図付きの地区防災計画を22年度に作成した。有明海沿岸に位置するため高潮の被害が懸念されており、避難場所や主要道路、河川、避難方向を盛り込んでいる。裏面には台風や大雨に備え、いつから、どのように行動するかを明記しておく「タイムライン」を掲載した。
地区防災計画を推進している市防災対策課の松窪昭宏課長は「計画を作成しても自治会長や行政職員には入れ代わりがある。評価や見直しを常に行い、防災活動が継続していくことが重要だ」と話す。(山下雅文)
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