夏休みは先生も勉強 県教委、小中学校教員を研修 授業内容を意見交換、「孤立化」防ぐ狙いも
夏休み、先生も勉強-。熊本県教育委員会は2022年度から主に公立中学校の教員を対象に、オンラインで授業内容や実践方法について意見交換する研修に取り組んでいる。目指すのは「生徒が主体的に考えて学ぶ授業」。5日の研修には250人以上が参加した。教員からは「他校の先生の話は参考になり、指導の幅が広がる」と好評だ。
「私は、授業ごとに発表者の指名やタイムキーパーをする『学習リーダー』を決めている。国語が苦手な生徒も頑張ってくれる」。5日、県庁から配信された研修会。中学国語部会ではスーパーティーチャー(指導教諭)が紹介した授業の実践例を、オンラインや対面で参加した教員が熱心に聞き入った。
研修は各教科に分かれて1時間あり、参加者は生徒が主体的に学ぶ授業内容について議論。「単元ごとに最終目標を設定し、それを生徒全員と共有することが大事」「他の生徒の意見を聞きながら自分なりの答えを探すグループワークが効果的」などと活発な意見が飛び交った。
菊池市の旭志中で国語を指導する男性教諭(42)は「生徒の主体性を促すには、教師の話し方や授業展開が大切だと感じた。今日学んだことを2学期から取り入れたい」。宇城市の小川中で数学を教える男性教諭(41)は「生徒の意見を聞くなど双方向性を意識した授業を心がけている。生徒が内容を理解しているか気を配りたい」と話した。
研修は教員の孤立化を防ぐ狙いもある。県内の小規模校には、教科担当の教員が1人しかいない学校もあり、以前から「悩みを相談する相手がいない」との声が県教委に寄せられていた。このため小学校に比べて数が少ない中学校の教員を対象にスタートしている。
年に4回、平日の夕方と夏休みにオンラインで実施している。他校の教員との数少ない情報共有の場として重宝され、参加は任意だが初年度が延べ251人、昨年度は同406人と増えている。初めて小学校の各教科の部会を新設した今回は264人で、すでに初年度の4回分を超えた。
文部科学省が小学6年と中学3年を対象に実施した24年度の全国学力・学習状況調査では、国語と算数・数学で、自らの考えを表現する記述式の正答率が低かった。児童生徒の読解力や文章力の向上が課題になっている。
現行の学習指導要領は課題を見つけ、解決する能力の育成を掲げている。そのためには教員の質の向上が欠かせない。県教委義務教育課の井手正直課長は「先生が答えを一方的に教える昔ながらの授業から、生徒が主役の授業に転換しないといけない。教員の意識改革を促し、教育の充実を図っていく」と力を込める。(後藤幸樹、上野史央里)
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