アフガニスタンの女性に自由を　難民選手、ブレイキンで躍動

　【パリ共同】パリ五輪のブレイキン（ブレイクダンス）にアフガニスタン出身の女性で難民選手団のマニジャ・タラシュ（２１）が９日出場した。五輪の夢を追いかけ、イスラム主義組織タリバンが女性の人権を抑圧する故国を去った。「アフガン女性に自由を」。予選で敗退したが、体を躍動させ心の叫びを発した。

　ダンスを始めると頭のバンダナを取り去った。女性は全身を覆うブルカの着用を求められるアフガンの状況に抵抗するかのように黒髪をあらわにした。さらに黒いスエットシャツを脱ぐ。現れた水色のマントには英語で「アフガン女性を解放せよ」と書かれていた。

　ブレイキンに出会ったのは２０２０年。２１年に復権したタリバンは音楽を弾圧する。五輪出場を夢見て、母の後押しで亡命を決意。弟や他のクラブメンバーらと一緒に車で隣国パキスタンへ密出国した。難民としてスペインに渡り、マドリードのクラブに入った。

　家族や自身を守るために変えた名字で五輪にも登録された。「男性にできることは女性もできる。それを証明したい」。世界が注目する大舞台で実行した。