〝市電マニア〟職員、開業100年祝う記念誌を制作中 熊本市交通局で再任用の細井さん「人生の集大成」
熊本市電が1日、開業100年を迎えた。節目を祝う記念誌の発行準備も進んでおり、〝市電マニア〟の職員が、「人生の集大成」として編集に奮闘中だ。
交通局総務課の細井敏幸さん(64)=熊本市中央区=は、開業60年と70年時に市上下水道局職員の傍ら、「記念誌」を独自に制作、自費出版した。今回は、市の再任用職員として晴れて記念誌担当の大役を担う。
父の故正博さんが交通局電車課に勤務する整備士で、物心ついた時には市電ファンだった細井さん。大学の工学部で学び、1982年、日立製作所に就職。水戸市の工場で働いた。
当時も「84年の開業60年に合わせて、記念誌を作るつもりだった」と、82年5月に取材のため帰省。普通列車を乗り継いで帰ったところ、「とても時間がかかった。これでは60年史を作れない」。秋には、会社を辞めた。
翌年、水道局に入り、働きながら手書きで資料をまとめ、2年かけて110ページの60年史を作った。94年の70年史ではパソコンを導入。翌95年に242㌻、7部構成の大作をまとめ上げた。ただ、開業80、90年時は、子育てと仕事に追われて出版を断念。2020年に定年退職した。
以降、再任用職員として勤務していたが、近づく節目に「100年史をまとめるのは自分しかいない」。〝市電研究者〟として市にアピールしたところ、念願かなって21年度からは交通局総務課で働く。
100年史制作で心がけるのは、誰が見ても分かりやすいこと。「これまでは趣味の目線。電車好きな人向けでよかった。今回は公式記録」。言葉の選択と表現に気配りし、開業時からの路線図、車体の図面、切符、写真などの集めてきた膨大な資料も活用する。
細井さんにとって、市電の魅力とは-。「例えば新幹線はとても速くて『非日常』に感じる」と前置きした上で「市電はゆっくりだが、街並みや人々の生活が目に入る。移動しながらでも町を楽しめること」だという。
100年史では、1日にあった記念式典や年内にも導入される3両編成の新型車両にも触れる予定。年内の完成を目指している細井さんは、「市電の歴史を多くの人に知ってほしい。これからの市電の在り方、公共交通の在り方を考える一助になればうれしい」と胸を膨らませる。(九重陽平)
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