負傷ワシに人工くちばし 飼育下でもQOL向上を

共同通信 2024年1月27日 05:39
 人工くちばしを装着したオジロワシの「ベック」を抱く斉藤慶輔さん(猛禽類医学研究所提供)
 人工くちばしを装着したオジロワシの「ベック」を抱く斉藤慶輔さん(猛禽類医学研究所提供)

 北海道釧路市の猛禽類医学研究所が、事故で上くちばしを失った国の天然記念物オジロワシのため、人工くちばしを開発した。現在は自力で餌を食べ、羽繕いもできるまで回復。代表の斉藤慶輔さん(58)は「人間の活動が原因で野生に戻れなくなった動物のQOL(生活の質)を高めてやりたかった」と話す。

 オジロワシは2019年4月、網走市の道路脇で、上くちばしと片目を失うなど「生きているのが不思議」な状態で見つかった。車と衝突したとみられる。ほどなく危機は脱したが、ピンセットで餌を与えなければ生きられず、大きなストレスがかかると予想された。

 フランス語でくちばしを意味する「ベック」と名付けられ、斉藤さんが同10月に人工くちばしの開発に着手。歯科医らの協力を得て21年、矯正用ヘッドギアのように後頭部で固定するアクリル製の試作型が完成した。

 研究所にはほかにも重傷を負い、自然界では生きられなくなった希少鳥類が30羽以上おり、医療機器の費用や飼育費の調達のため、3500万円を目標にクラウドファンディングを「READYFOR(レディーフォー)」のサイトで募集中だ。2月29日午後11時まで。

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