球磨川との記憶“再生” 昭和~平成の坂本町 水損ネガから写真集

熊本日日新聞 | 2021年02月18日 09:37

写真集「REBORN」。昨年の7月豪雨で水損した八代市坂本町に残る古いフィルムを再プリントして発行した

 昨年の7月豪雨で水損した熊本県八代市坂本町の古いネガフィルムから画像をよみがえらせた写真集「REBORN(リボーン)」が刊行された。売上金は経費を除いて同町の復興に役立てられる。プロジェクトの中心となった水俣市の写真家豊田有希さん(33)は「川とともに生きた人々の暮らしを、土地の記憶として共有したい」と力を込める。

 地元のアマチュアカメラマンらが昭和20年代から平成初期の坂本町の暮らしや風景を写したネガフィルムで、同町のラフティング会社「リボーン」を経営するリバーガイド溝口隼平さん(39)が譲り受けて保管していた。

 しかし、豪雨で大半が水損。豊田さんが約200本分を預かりSNSで協力を呼びかけると、県内の写真仲間や学芸員ら約20人が支援に駆け付け、津奈木町つなぎ美術館と熊本市現代美術館などでクリーニングや保存、デジタル化を進めてきた。

 延べ2167カットがデータとして残り、50カット余りを収録。木材を川に流して運ぶ筏[いかだ]流し、荒瀬ダム建設現場に集う男たち、渡し船で通勤するスーツ姿の女性…。近代化や水害を経験しながらも、地に足を着けて生きる人々の姿が映し出されている。

 「今はない風景に懐かしさが湧き、眠らせておくのはもったいないと思った。時間を経て残っていく写真は、撮り手の意思を越えて地域の歴史の記録になる」と豊田さん。坂本町住民への写真集の無料配布や地元での写真展も考えているという。刊行には2財団の助成を受けた。

 写真集は2千円で、熊本市現代美術館で販売。写真の一部は再プリントされ、同館で開催中の豊田さんの個展「あめつちのことづて」でも展示されている。

 問い合わせは豊田さんTEL080(3986)2664。メールはyuukitoyoda.08@gmail.com(魚住有佳)

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