愛する南阿蘇鉄道、ハンドル再び 腰痛で退職の運転士内川さん、3年ぶり復帰 若手の指導も

2016年の熊本地震で被災し、7月15日に全線再開する南阿蘇鉄道(南鉄)。運転士の内川聖司さん(68)=熊本市北区=は、持病の悪化で3年半前に退職したものの、4月に会社の求めに応じて現場復帰した。「素晴らしい景色と沿線住民とのコミュニケーション」が忘れられずに復帰を果たしたベテランは、全線再開を人一倍待ち望む。
内川さんは1976年、国鉄に入り、分割・民営化後はJR九州に移った。運転士一筋で、2008年1月に南鉄へ出向した。
地震までの8年間、高森(高森町)─立野(南阿蘇村)間の17・7キロで列車を走らせ続けた。第一白川橋りょうから見下ろす立野峡谷、カルデラ内に広がる田園風景や湧水地─。車内アナウンスで沿線の観光名所も案内した。地元住民らとの触れ合いも魅力で、「知り合いの農家が車内に私の姿を見つけると、作業を中断して手を振ってくれる。ついつい汽笛を鳴らしてしまう」と笑顔を見せる。
地震は、観光客や住民に愛された鉄路を奪った。特に中松(同村)-立野間の10・6キロが甚大な被害を受けた。「地盤が沈み、レールがぐにゃぐにゃになった姿を見て、涙が出そうになった。存続できないかも、とも思った」。被害の少なかった高森-中松間では16年7月部分運行が再開した。しかし、内川さんは腰痛が悪化し、19年11月に南鉄を去った。
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