【熊本地震 仮設後の風景㊤】「サロン」交流、今も 新たな住まい、孤立感も
「両腕を伸ばして。いちにっ、さんしー」。3月中旬、益城町の復興まちづくりセンター「にじいろ」で、「木山健康クラブ」の男女6人が体操を楽しんだ。平均年齢は約80歳。熊本地震で整備された木山仮設団地の入居者らが団地内で活動していたが、今年からにじいろに場所を移した。
それぞれは仮設を出て自宅再建などを果たしたが、「毎週の活動が楽しみで、今も集まっているの」と代表の堀川京子さん(88)。活動を始めて約6年。仮設入居者が多かったころは20人以上が参加し、集会所がぎゅうぎゅうになるほどの盛況ぶりだったという。
熊本地震では多くの被災者が仮住まいを余儀なくされ、県内でピーク時に2万255世帯、4万7800人が、借り上げ型の「みなし」を含めた仮設住宅に身を寄せた。建設型仮設団地は110カ所整備され、入居者による趣味の集まり「サロン」も数多く活動した。手芸、カラオケ、楽器、ダンス…。サロンは、地震で住まいを失い、心が傷ついた住民同士をつなげる大きな役割を果たした。
一部のサロンは仮設を退去した元入居者らも集い、団地内の集会場「みんなの家」で活動を続けた。しかし、仮設団地は復興が進むにつれて役目を終え、木山仮設を最後に3月いっぱいで全て閉鎖。たくさんの思い出が詰まった仮設団地は、解体が始まっている。
堀川さんは「寂しさもあるけど、復興が進んでいる証し。交流が続く友達ができて良かった」としみじみ語る。
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