BCLよ聞かせてくれ 海外の声を ラジオとともにある人生 秋田市の大学教授・内田さん 「未知の世界」に26歳記者が迫る
国際教養大学(秋田市)で英語教育学を教える内田浩樹教授(57)は、遠隔地の放送を受信して楽しむBCL(ブロード・キャスティング・リスニング)愛好家だ。熊日のSNSこちら編集局(S編)に「NHK熊本のAMラジオ放送は秋田市でも受信できる」とのメッセージを寄せた内田さんの人生は、ラジオとともにあった。「BCLは今日聞こえても明日聞こえるかは分からない不確かなもの。そんな不確かなものに憧れる人は多いと思う」。ラジオ自体あまり聞いた事がないという26歳の東有咲記者が、「未知の世界」に迫った。
内田さんとラジオとの出会いは1970年代、小学3年生の頃だ。台風で自宅が停電した際、情報を得ようとラジオのダイヤルを回していると、中国語や韓国語が聞こえてきた。短波帯による国際放送だった。
当時は今のようにインターネットやスマートフォンはなく、海外の情報を得られるのは百科事典くらい。海外の放送局の中には日本語で放送している局も多く、小学生でも十分楽しめる内容だった。本を開かなくても聞こえてくる海外のニュースや音楽、メッセージに、内田少年はどんどんはまっていった。
内田少年をさらに虜[とりこ]にしたのが「ベリカード(受信確認証)」。ベリカードはラジオ放送局に受信状態や番組内容、放送についての意見などを書いて送ると、各放送局が用意している地域特有の絵や写真付きのカードに、受信したことを証明する文言を添えて返信してくれるもの。当時は国内外問わず、多くの放送局が発行していた。
内田少年が初めてもらったのはフィリピンのベリカードで1976年10月のこと。これまでに70~80カ国、400~500枚のカードを入手してきた。
同じ放送局でも、日本語放送と英語放送で違う絵柄のベリカードを発行している局もあり、内田少年はカード欲しさに自分で英語を勉強し始めた。1977年にはシンガポールの局から念願の英語放送のカードをゲット。「2年ほどで英語の聞き取りができるようになった」ことが、今の仕事につながっているという。
当時、日本ではBCLの一大ブームが起きていた。書店には「月刊短波」という雑誌が山積みにされ、テレビでもBCL用の短波ラジオ機器のCMが流れていた。内田さんと同世代や、少し上の世代で、同じようにBCLに夢中になった人も多いという。
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