汚染魚の多食巡り、互助会と熊本県が主張 水俣病認定不服審査会

熊本日日新聞 | 2020年12月24日 10:21

水俣病患者認定を巡る不服審査の口頭審理に臨む緒方博文さん=23日、熊本市中央区
水俣病患者認定を巡る不服審査の口頭審理に臨む緒方博文さん=23日、熊本市中央区

 水俣病の患者認定を巡る国の公害健康被害補償不服審査会の口頭審理が23日、熊本市であり、審査請求した水俣病被害者互助会の緒方博文さん(63)=水俣市=が汚染された魚を多食したかどうかについて、緒方さん側と認定申請を棄却した熊本県がそれぞれ主張した。

 県が「海から約4キロ離れた山間部で育ち、魚を食べるのは週2、3回程度だった」としたのに対し、緒方さん側は「海に近い母親の実家でいつも食事していた」と反論した。

 緒方さん側は「県の審査は地域の食生活を調査しなかった」と強調。県側は「認定患者が比較的少ないことなどを総合的に検討した」と説明した。

 審査員はメチル水銀の半減期が70日前後であることを踏まえ、「結婚直後に妊娠した母親の実家での摂食状況は考慮しなかったのか」と指摘。県側は「胎児期の水銀の影響は論文も少なく判断が難しい」と述べた。(堀江利雅)