旧菊池医療刑務支所跡地に小・中学校が完成 「人権教育の拠点」に

熊本日日新聞 | 2020年12月26日 11:21

旧菊池医療刑務支所跡地に完成した合志楓の森小・中学校。グラウンドの右上付近に医療刑務支所の建物があった。奥は国立療養所菊池恵楓園=25日、合志市栄(池田祐介、小型無人機で撮影)
旧菊池医療刑務支所跡地に完成した合志楓の森小・中学校。グラウンドの右上付近に医療刑務支所の建物があった。奥は国立療養所菊池恵楓園=25日、合志市栄(池田祐介、小型無人機で撮影)
合志楓の森小・中学校建設に向け、解体が始まった旧菊池医療刑務支所の建物=2019年7月1日、合志市栄(高見伸・木村恭士、小型無人機で撮影)
合志楓の森小・中学校建設に向け、解体が始まった旧菊池医療刑務支所の建物=2019年7月1日、合志市栄(高見伸・木村恭士、小型無人機で撮影)

 熊本県合志市が全国唯一のハンセン病患者専用刑務所、旧菊池医療刑務支所の跡地(同市栄)を活用して新設する合志楓[かえで]の森小・中学校が25日、完成した。「人権教育の拠点」への思いを込めた校歌も決まり、2021年4月に開校する。

 新設校は国立療養所菊池恵楓園の南側に隣接し、敷地約5万7千平方メートル。建設事業者が25日、市に引き渡した。校舎棟は鉄筋コンクリート造り3階建て、延べ床面積約1万千平方メートルで、1・2階に小学校、3階に中学校が入る。

 同刑務支所は1953年開設。97年に閉鎖されるまで延べ117人を収容し、「特別法廷」も開かれた「国による人権侵害の証拠」とされた施設。市は人口増加に伴う学校建設のため、19年7月に解体に着手し、庁舎や外塀があった場所はグラウンドになった。

 小・中学校それぞれの校歌は、元大津中校長で音楽が専門の赤星誠司氏(62)=菊池市=が作詞・作曲。恵楓園をイメージする「恵みの風」や、「愛と正義 語る場所」「真理の光 求めんと」など人権を尊重する歌詞を盛り込んだ。

 門には偏見や差別を二度と助長しないよう願う碑文を設置。恵楓園入所者自治会の太田明副会長(77)は「人権をテーマに学校行事の連携強化が期待できる。協力していきたい」と話す。来年3月20日、落成式を予定している。(木村恭士)