皇位継承策 国民に開かれた議論必要

03月30日 09:11

 安定的な皇位継承の在り方を議論する政府の有識者会議の初会合が開かれた。皇族の数が減少する中で象徴天皇制をどう維持していくのか。国民の総意を導き出すには、開かれた議論を進める必要があろう。幅広い意見を基に論点を整理し、これからの時代にふさわしい皇室制度を追求してもらいたい。

 有識者会議は学者や経済人ら6人で構成。さまざまな専門分野や経歴を持つ男女3人ずつで、年齢も40~60代と多様な顔触れとなった。今後、20人ほどの専門家から意見を聴取し、議論をまとめる。

 現行の皇室典範は、父方が天皇の血筋を引く男系の男子が皇位を継承する、と定める。現在、資格があるのは、秋篠宮さま(55)と長男悠仁さま(14)、上皇さまの弟の常陸宮さま(85)の3人。このままでは、皇統の維持が難しくなる。

 会議では、女性天皇や、父方に天皇の血を引かない女系天皇の是非が主な論点となる。共同通信社が昨年実施した世論調査では、女性天皇賛成派が85%、女系天皇賛成派も79%に上った。多くの世論が支持していると言えよう。

 ただ、自民党内などの保守派には「女系天皇の容認は、日本の伝統を破壊する」として、男系維持を求める声が根強い。終戦直後に皇籍を離れた旧宮家の男系男子子孫の復帰を望む声もある。

 未婚の女性皇族6人の、結婚後の身分についても議論する。皇室典範は皇族以外の者と結婚したときは皇籍を離れると定めており、近い将来、公務の担い手が不足しかねない。

 引き続き皇室にとどまる「女性宮家」の創設が案に上がるが、保守派は女性・女系天皇につながるとして拒否反応を示す。結婚後の女性皇族に「皇女」の尊称を贈り、皇籍離脱後も公務への協力を委嘱する案もあるが、野党には「その場しのぎだ」といった否定的な意見が多い。

 明確に対立する意見を集約させるのは容易ではない。だからこそオープンな場での議論が欠かせないが、初会合では会議を非公開とし、2週間後をめどに要点をまとめた議事記録を発言者名を付けずに公開すると決めた。国民一人一人が象徴天皇制に向き合い、皇室の在り方を考える機会にするためにも、議論の過程まで明らかにすべきではないか。

 今回の有識者会議は、2017年に安倍政権下で成立した天皇退位特例法に伴う国会の付帯決議を受けて設置された。決議から4年近くを経ての設置はあまりに遅いと言わざるを得ない。

 保守派の反発を警戒し議論に消極的だった安倍政権の姿勢は、菅政権にも継承されているようだ。政府内には明確な結論提示を見送るべきだとの声もある。

 だが、無策をこれ以上続ければ、女性・女系天皇を認めようにも対象者がいない、という事態にもなりかねない。秋までに総選挙も実施されるが、政治とは切り離し、積極的かつ冷静な議論を重ねてほしい。

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