3月1日付

03月01日 09:20

 冬枯れの枝先に、つぼみが膨らみ始めたと思ったら、あっという間に純白の花が全開になる。ハクモクレンは、まさに春を爆発させて見せる樹木の一つだ▼高浜虚子編の新歳時記には、こんな一句がある。<木蓮[もくれん]のとがり伸びたる莟か[つぼみ]な>(千草)。盛りの花ばかりに目を奪われがちだけれども、その前のつぼみの伸び方にも特徴がある。先端が一様に北を向いているのだ。方位磁石になぞらえコンパスプラントと言われる▼上向きのつぼみには南側から余計に日差しが当たる。このため南側の成長が早く、先端がみんな北向きにかしぐ。同じモクレン科のコブシなども一緒。早春の山中で方角を知る手掛かりになることから「磁石の木」の別名もある▼あちこちでハクモクレンが満開となっている中、福岡など6府県の新型コロナウイルス緊急事態宣言が解除された。きょうからは3月、じきに桜の咲く時節を迎える。卒業、入学、人事異動などにともない、人の動きも活発になる。宣言解除は基準にのっとったものとはいえ、感染再拡大の不安は尽きない▼政府のコロナ対策分科会の呼び掛けがいかにも細かい。会食するのならいつも近くにいる4人まででとか、花見は宴会なしでとか、卒業旅行や歓送迎会は控えて…などなど▼何とも口やかましい言われようだが、再拡大を防ぎたいという思いはみな同じ。要は心掛けだろう。大騒ぎの花見ではなく、樹下の静かな酒宴だってできるはず。それぞれが同じ目標を向いた先に、咲き誇る花もあるのでは。

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