中村哲医師の志刻む 没後1年、熊本市で追悼会

熊本日日新聞 | 2020年11月30日 07:30

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中村哲医師を追悼する会で講演するペシャワール会の福元満治理事=29日、熊本市中央区

 昨年12月4日、アフガニスタンで非政府組織(NGO)ペシャワール会の現地代表として活動中に銃撃され、73歳で亡くなった中村哲医師を追悼する会が29日、熊本市中央区の熊本城ホールであり、中村医師と共に診療所や用水路の整備に奔走した同会の関係者2人が功績や人柄をしのんだ。

 同会熊本連絡会(柴田堅一郎会長)の主催で、約500人が集まった。同会の福元満治・広報担当理事(72)=福岡市=は、2000年の大干ばつ後に全長25キロに及ぶ用水路を整備し、広大な農地と住民の命を救った事業を紹介。「近代文明や教育を押しつけるのではなく、現地の人が必要とすることに徹した」と中村医師の志を語った。

 同会の現地活動を担うPMS(平和医療団日本)の藤田千代子・支援室長(61)=同市=は1990年代の戦乱で各国の支援団体が撤退する中、看護師として共に診療所開設を続けた当時を回顧。「中村医師は病院で待つのではなく、最も苦しむ山地の重症者の巡回にこだわっていた」と述べた。(堀江利雅)