インフル「予防接種受ける」65%、「迷っている」16% 昨季から大幅増の可能性も 熊本

熊本日日新聞 | 2020年9月30日 12:00

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 新型コロナウイルスとの同時流行が懸念されるインフルエンザの予防接種が10月1日に始まる。熊日の「SNSこちら編集局」(S編)の公式LINEでアンケートを実施したところ、接種予定の人は7割弱で、昨季接種した人と比べ約8ポイント多かった。迷っている人も2割弱おり、接種希望者が大幅に増える可能性もありそうだ。

 厚生労働省は、今冬のインフルエンザワクチンの供給量を過去5年で最大の約6300万人分と公表。昨季より約7%多く、熊本県健康危機管理課も「県内の接種希望者にも十分対応できる」としている。

 アンケートは9月25~28日に実施し、県内を中心に1635人が回答。接種予定の人は合計65・6%で、昨季接種した人の57・5%を8・1ポイント上回った。接種時期は「11月」(30・8%)、「10月」(29・5%)の順で多かった。

 「接種するかどうか迷っている」は16・1%で、「一度もインフルエンザに感染したことがないが、新型コロナが心配で検討中」(八代市、60代男性)などの意見があった。

 一方、今季の「接種しない」は18・3%で、昨季の「接種していない」(42・5%)に比べ半分以下。さらに昨季、未接種の人のうち、今季も接種しないという人は4割強にとどまった。

 今季接種しない人は、「予防接種してもインフルエンザになるときはなる」(熊本市、40代女性)、「金額が高い」(同、30代女性)など効果や価格を理由に挙げる人も少なくなかった。

 接種時期について、昨季10、11月に接種した人は今季も同じ月を予定する傾向にあった一方、昨季12月以降に接種した人の6割強は、今季は10、11月を希望。「家族全員で受けたいが、ワクチン不足が心配」(あさぎり町、40代女性)などと早めの接種を検討する声が目立った。

 接種予定の人の割合を年代別でみると、70代以上は8割弱、30~60代は各6割台、20代が5割台、10代以下は3割台と、年代が上がるほど高かった。(岩下勉、原大祐)

県内小児科、10月1日から接種開始も 高齢者優先は「小児への不利益」 

 10月1日から始まるインフルエンザの予防接種は、国が65歳以上の高齢者を優先させるよう呼び掛けているが、日本小児科医会は「小児への不利益が生ずる不安がある」などとして各医療機関にそれぞれの判断で接種時期を決めるよう提言。これを受け、熊本県内の小児科でも1日から子どもらを対象に接種を始めるところがある。

 厚生労働省は、1~25日までは重症化リスクの高い高齢者を優先する方針で、接種が推奨される生後6カ月~小学2年生の子どもや妊婦、医療従事者らは26日以降に接種するよう求めている。

 これに対し、日本小児科医会の提言は、乳幼児はインフルエンザ脳症のリスクが高いことや、すでに接種予約が完了している医療機関で混乱が起きる可能性を指摘している。

 熊本市東区の「みうら小児科クリニック」では、提言に基づき、1日から接種を開始する方針だ。すでに10月中旬まで予約でいっぱいの状態で、県小児科医会の予防接種担当理事でもある三浦裕一院長は「子どもは2~4週の間隔を空けて2回接種する必要があり、10月と11月にそれぞれ接種するのが妥当」と強
調。

 今季のワクチンの供給は例年になく順調の見通しといい、「今のところ不足する懸念はしていない。早めの接種を希望する人は、かかりつけ医に相談してほしい」と話している。(岩下勉)