馬追い、来年は勇壮に… 藤崎宮例大祭の神幸行列中止で奉納団体 

熊本日日新聞 | 2020年9月21日 11:30

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神幸行列が行われる予定だった朝、牧場で馬を走らせる「鳥居基」の口取り=20日午前7時20分ごろ、菊陽町(池田祐介)

 新型コロナウイルス感染防止のため、1945年以来の中止となった藤崎八旛宮(熊本市中央区井川淵町)例大祭の神幸行列。勇壮な「馬追い」が駆け抜け、市中心部を盛り上げるはずだった20日、奉納団体関係者は馬の世話をしたり同神社に参拝したりして静かな一日を過ごした。

 午前6時半。薄暗い菊陽町の牧場に、最古参の奉納団体「鳥居基[とりいもと]」で馬を扱う口取り5人の姿があった。リーダー植田純平さん(41)を中心に、厩舎[きゅうしゃ]から雄馬1頭を引き出し、約150メートルの馬場を駆け足などで3往復した。植田さんは「今ごろは『馬追い』をしているはずだけど、走りたがる馬を抑えるので精いっぱい」と苦笑いした。

 例年は、5月ごろから牧場に月2~3回通って人馬一体を目指して信頼関係を育む。しかし、今年は感染防止のため牧場に入れたのは9月からだった。植田さんは「すべての行事が中止になった。神幸行列の中止も仕方がない」と受け止めたという。ホースで水を掛けて馬体を冷やし、丁寧にブラシを掛けた。

 植田さんら鳥居基のメンバー15人はその後、同神社に新型コロナの終息などを祈願する絵馬を奉納し、神事に臨んだ。

 同団体は神社の地元碩台校区の住民らでつくり、奉納順は不動の一番。役員の飯川誠さん(45)は「悪いことがあれば良いこともある。今年は一休みして、来年が今まで以上に盛り上がる行列になるよう準備したい」と話した。(山口尚久)