熊本生まれの馬「ヨカヨカ」GⅠ挑戦権 デビューから3連勝

熊本日日新聞 | 2020年9月3日 12:30

image
テレビ観戦し、ヨカヨカの快勝を喜ぶ本田土寿さん=熊本市東区(本田さん提供) 撮影者:本田さん提供

 熊本生まれの競走馬「ヨカヨカ」(2歳、牝馬)がデビューから無傷で3勝目を挙げ、来春の最高格付けレース「桜花賞」(GⅠ)の出走“当確”となった。出走がかなえば、県産馬のGⅠ挑戦は初めて。生産者の本田土寿さん(59)=熊本市東区=は「本当にびっくり。うれしさ百倍だよ」と目を輝かせる。

 ヨカヨカは8月29日、小倉競馬場(北九州市)で開催された九州産馬限定「ひまわり賞」(2歳限定、芝1200メートル)に1番人気で出走。獲得賞金がほかの出走馬より多いため、プラス2~4キロの負担重量を背負ったものの、2着に3馬身半の大差をつけて制した。日本中央競馬会(東京)によると、騎手の体重を含め57キロの重さを背負って2歳牝馬が勝利したのは史上初めて。

 馬主で建設会社社長の岡浩二さん(55)=大阪市=は、ヨカヨカの強さについて「競りの前から反応も馬体も良かったが、この走りは予想以上」と絶賛。ヨカヨカはこれまで1200メートルのレースに勝利しているが、桜花賞の距離は1600メートル。岡さんは「距離を伸ばして走らせてみなければ分からないが、ぜひ桜花賞に出してあげたい」と力を込める。

 今回の勝利で本田さんの生産馬は、ひまわり賞3連覇。勝ちを重ねるヨカヨカを頼もしく思いつつも「実は手放しに喜べない」と胸中を明かす。本田さんの心にいるのは、出荷前に病気になったり死んだりした馬たちの姿。「みんな愛情と希望いっぱいに育ててきたが、結果を残せなかった馬もいる。そんな“先輩”たちの分まで、ヨカヨカが頑張って走ってくれるのがうれしい」と語った。

 ヨカヨカはしばらく放牧され、充電期間に入る。本田さんは「桜花賞に出てほしいという気持ちはあるけれど、オーナーや先生(調教師)が決めること。これからも無事に走って、勝ち鞍[くら]を伸ばしてほしいね」とほほ笑んだ。(飛松佐和子)