ウイグル族弾圧 中国は実態明かし改善を

04月08日 09:24

 米国務省は2020年版の人権報告書で、中国当局による新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族に対する人権弾圧を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と非難した。6日にはプライス報道官が、22年北京冬季五輪のボイコットも選択肢だとの考えを表明。問題が深刻化する様相をみせている。

 報告書は100万人以上のウイグル族の人たちが強制収容され、不妊手術や強制労働を強いられていると指摘した。さらに「他の200万人が『再教育』訓練を受けた」などとしている。思想矯正により、独立・抵抗運動を封じ込めるのが中国の狙いとみられるが、人権弾圧は容認できない。

 米国をはじめ、欧州連合(EU)、英国、カナダは自治区当局者の資産凍結などの制裁も発動した。中国側は人権弾圧を否定して「内政干渉」と強く反発するが、包囲網は強まる一方だ。

 国連も問題解決へ動きだした。人権高等弁務官事務所は現地訪問に向けて交渉をしている。中国は訪問を受け入れ、ウイグル族に対して何を行っているか実態を明らかにする必要がある。人権侵害の状況が指摘されれば、速やかに改善すべきだ。

 新疆ウイグル自治区は1955年に設立された。住民のうちウイグル族は1280万人にのぼり、大多数がイスラム教徒とされる。漢族中心の中国政府に反感が強く2009年には自治区都のウルムチで大規模暴動が起きた。

 この後、中国政府はウイグル族に対する監視を強化。19年には当局の内部文書で、大規模な監視システムの運用によって「疑わしい」とされた約1万5千人が収容所に送られたことが分かった。職業教育訓練センターと呼ばれる施設では、入所者にウイグル語ではなく中国語を使わせる心理的な矯正教育を強要していることも明らかになっている。ウイグル族を漢族に一体化させる「民族同化」政策といえよう。

 今回の欧米の動きは、こうした行為を糾弾し、人権の回復を求めるものだ。巨大経済圏構想「一帯一路」を推進する中国にとっても、国益を損なう孤立化は得策ではあるまい。反発するだけでなく、謙虚に人権対話に応じることはできないものか。

 一方、この問題で日本政府は米欧と一線を画している。茂木敏充外相は米欧と連携するとしながらも、対中制裁には慎重な姿勢を示した。日米同盟を外交・安全保障の基軸とするが、隣り合う大国・中国との関係も重要というのが日本政府のスタンスだ。背景には、中国を刺激すれば強烈な報復を受けかねないとの危機感もある。

 自民から共産まで超党派の国会議員は6日、中国制裁を可能にする法整備に向けて議員連盟を設立した。国際社会では、次々と明らかになっている人権弾圧を傍観することは許されない。日本政府には、米欧と中国の間でバランスを保ちながら中国に人権弾圧の停止を働き掛ける独自の戦略的外交を実現してもらいたい。

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