不知火海の沿岸「食生活は魚中心」 互助会訴訟尋問

熊本日日新聞 | 2020年11月12日 09:27

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2月以来となる口頭弁論を前に熊本地裁前で集会を開く水俣病被害者互助会の原告ら=11日、熊本市中央区

 水俣病の胎児性患者らと世代が重なる水俣病被害者互助会の7人が行政による患者認定を求めた訴訟は11日、熊本地裁で証人尋問があり、不知火海の汚染が深刻だった頃の原告らの食生活について2人が証言した。

 熊本学園大の花田昌宣教授は不知火海沿岸の訪問調査を踏まえ、「原告らの家は目の前が海。食料品店も少なく、捕ったりもらったりした魚を中心に食べていた」と指摘。「差別の問題があるのに本人申請が前提。加害者の行政が範囲も決めている」と認定制度の問題点も指摘した。

 原因企業チッソの第一組合委員長だった水俣市の山下善寛さんは「肉の値段は魚の5倍以上だった」と説明。「汚染確認後、魚食は自主規制された」とする被告側に対し、「危険の認識はみな希薄で入手しやすいカキやタチウオを子どもも食べた。自粛の話は聞いたことがない」と否定した。

 新型コロナウイルスによる延期で、2月以来の口頭弁論となった。(堀江利雅)