「水俣曼荼羅」東京で上映 水俣病15年撮影、患者の今描く

熊本日日新聞 | 2020年11月2日 10:05

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映画「水俣曼荼羅」上映後、登壇して話す原一男監督(左)と二宮正医師=10月31日夜、東京・有楽町

 水俣病をテーマにした映画「水俣曼荼羅[まんだら]」が10月31日夜、東京・有楽町で開催中の映画祭で上映された。

 「ゆきゆきて、神軍」や「れいわ一揆」などを手掛けた原一男監督が、15年にわたり撮影したドキュメンタリー映画。3部構成で計6時間12分という大作となっている。

 水俣病の認定のあり方を問う関西訴訟や溝口訴訟などの一連の裁判、水俣病による感覚障害の要因についての学術研究や、水俣市で暮らす患者の現在などを丹念に描き出している。

 上映後、原監督のほか、作品にも登場する関西訴訟で原告勝訴につながる病像論を展開した二宮正医師が登壇。原監督は「患者だけなく、医師やジャーナリスト、研究者など全部ひっくるめて一つの世界をつくろうと思っていた。曼荼羅というタイトルもしっくりきていると思う」。二宮医師は「(患者や被害者らは)水俣病がなかったら普通の生活をしたかっただけということを、改めてこの映画で感じた」と話した。(嶋田昇平)