今はロアッソを信じて後押しする時 <WEBコラム・赤馬のキセキ>

熊本日日新聞 | 2023年2月28日 14:37

マスク着用の上、声を出してロアッソ熊本の応援歌を歌うサポーター=26日、熊本市東区のえがお健康スタジアム(谷川剛)

 ロアッソ熊本の2023年ホーム開幕戦は秋田に0-1という悔しい結果となった。一番の敗因は地上戦を志向する熊本が、空中戦主体の秋田に主導権を握られたことだろう。相性の悪いスタイルとの戦いを克服できるだけの力が、熊本にはまだ足りなかった。

 2試合を終え、1分け1敗のスタートに不安を抱くサポーターも少なくないと思う。それでも、敵地で栃木と引き分けた初戦は持ち味のプレスを発揮していたし、ボールを保持するサッカーを一定のレベルで披露した。

 チームには、J1や、その先に広がる世界に挑戦しようという選手が集った。J3に降格する前の第1期J2時代は、J1でのプレーが厳しくなったベテラン選手が多かった。今は伸び盛りがそろうのが何よりも強みだ。

 秋田戦でデビューした大卒ルーキーのFW大崎舜は、189センチの長身でスピードもあり、足元の技術も高い。左ウイングで初先発したFW島村拓弥はドリブルで魅せた。16歳のFW道脇豊は強化部を驚かせる急成長を続ける。守備陣は大卒新人のDF相澤佑哉、大卒2年目のDF江﨑巧朗が奮闘している。球際の強度と相手FW陣との駆け引きを磨けば、十分にやっていけそうだ。

 昨季J1だった清水と磐田が2試合戦って白星を挙げられない厳しいリーグ戦。熊本の先行きも決して楽観できない。だが、大きく悲観するほどでもないと感じる。最も怖いのは、自信をなくし、チームが一体感を失って方向性も見失うことだ。

 課題は多いが、練習を見る限り、もっと相手に仕掛ける力はあるし、プレースピードもまだ上げられるはずだ。幸い指導陣も選手も、課題は「ボールを前へ運ぶところ」と共通認識を持てている。

 その課題こそが、成長できる余地だ。降格寸前のシーズンは課題すら分からないまま敗戦を重ね、こちらも原稿を書くのに何度も苦労した。あの頃を思えば、今の選手たちには覇気があり、取材する側も一緒に熱くなれる。

 プロだから結果を求められるのは当然だ。長いシーズンの中でうまくいく試合もあれば、思うようにいかない試合もある。今はイレブンを信じて後押しする時期だと思う。(野方信助)

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