電話で「過払いの年金80万円返せ」詐欺じゃなかった!? うっかり夫の名前を書いたら、年金事務所から2年後に…

熊本日日新聞 | 2022年10月26日 18:02

過払い年金約80万円の返還を求められている夫婦

 「年金事務所から突然、電話で『年金約80万円が過払いだったから返還してほしい』と言われた。最初は詐欺だと思いましたよ」

 熊本県菊陽町に住む60代夫婦は「身に覚えのない」過払い年金の返還トラブルに巻き込まれた。問題になったのは、条件を満たした厚生年金の受給者が申請すれば加算して受け取れる「加給年金」。夫婦には加算分を申請した意識はなかったが、日本年金機構(東京)から送られて来たはがきの空欄に夫の氏名を書いたことがトラブルの原因だった。

 2年前、65歳を迎える妻は年金を受け取るため、「年金請求書」というはがきに必要事項を記入した。はがきにはあらかじめ、同居する2歳年下の夫の生年月日と氏名の振り仮名が印字してあった。

 「下記の加給年金額の対象者は、私が生計を維持していることを申し立てます」と書いてあり、夫と同一生計である女性は、印字してあった振り仮名の下に夫の氏名を漢字で記入して投函[とうかん]した。

 ところが、当時63歳だった夫は既に年金の受給資格が発生しており、本来は女性の加給年金の対象者ではなかった。今年6月、65歳を迎えた夫が自分の年金を受け取ろうと手続きしたことで2年分の過払いが判明した。

 夫婦は「振り仮名などがあらかじめ印字されていれば氏名を書くと理解するのが自然では。それだけで過払いが発生する仕組みは問題がある」と話す。しかも過払いが2年に及んだため、返還額は計78万897円に膨らんでいた。

 これに対し熊本西年金事務所(熊本市)は「加給年金は夫婦ともに年金を請求してもらうまで過払いかどうかの判定ができない仕組みだ」と釈明した。

 熊日の「SNSこちら編集局」(S編)取材班は日本年金機構に、過払いが年間どのくらい発生しているのかを尋ねたが「個別に各年金事務所で対応する案件なので、過払い件数の全体は把握していない」と回答。一方で、熊本西年金事務所は「取材窓口は年金機構になっている」として答えなかった。

 夫婦は熊本西年金事務所に経緯の詳細な説明を求めているが、返金の方法や期限などはまだ示されていない。ただ、「電話で『お金』詐欺」も横行する中、過払い分の返還を電話で連絡したことについては夫婦に対して謝罪したという。(立石真一)

 ●加給年金 厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人が65歳に到達した時点で、被保険者が生活を支えている65歳未満の配偶者や子どもがいる場合に加算される。代表的なのは、夫や妻が先に65歳になって年金生活になったが、もう一人が年金を受け取れる年齢になるまでの生計費を支えるために加算されるケースだ。支給を受けるには手続きが必要。配偶者の場合は年22万円余が加算され、受給者の生年月日に応じて特別加算もある。

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