10円高いバス運賃 2年以上ミス放置 同じ区間でも路線で差 熊本都市バスが指摘受け修正

熊本日日新聞 | 2022年4月13日 19:28

運賃設定にミスがあった熊本都市バスの北水前寺バス停=4月7日午前8時ごろ、熊本市中央区

 熊本都市バス(熊本市)が運賃設定を誤り、同距離の同一区間でも路線によって運賃に10円の差が生じるケースが複数あったことが熊本日日新聞の調査で分かった。社内的にミスを把握しながら2年以上放置していた路線もあった。同社は熊日の指摘を受けて12日から運賃を下げて均一にそろえた。

 熊本都市バスによると、設定ミスがあったのは熊本市内を走る2路線の計7区間で、島崎保田窪線は水前寺駅前─水道町など5区間、上熊本線は北水前寺や水前寺駅前から水道町まで利用する2区間。運賃はそれぞれ170円で、同じ区間を他の路線で利用した場合よりも10円高く設定していた。

 道路運送法に基づき国土交通省に許可された上限運賃はいずれも170円のため違法ではないが、熊本都市バスは11日に九州運輸局に7区間の運賃変更届出書を提出し、12日に変更した。

 差が生じたのは2019年10月の消費税増税に合わせた運賃改定時という。当初は他の路線も170円に上げる内容で九州運輸局に届け出ようとしたが、国交省が示していた算定方法に合わなかったため受理されず、160円に据え置いた。しかし、2路線は誤って170円で届け出て受理されたという。

 このうち島崎保田窪線については改定から2~3カ月後に社内から運賃の差を指摘する声が上がったが、そのままにしていた。

 熊本都市バスは熊日の取材に、社内で指摘があった時点で是正すべきだったと認め「路線が異なり運賃も受理されていたので、そのままにしてしまっていた。利用者の皆さまに大変ご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます」とコメントした。

 九州運輸局は「同一距離の同一区間の場合、運賃を同じにするのが一般的だと考える」とする一方、170円の届け出を受理した点については「見逃してしまったのかもしれないが、当時の詳細はわからない」と説明。ただ、上限運賃の範囲内なので「受理自体に問題はない」とした。

 運賃設定ミスは、バスをよく利用するという熊本市の女性会社員(54)が「SNSこちら編集局」(S編)に寄せた疑問をきっかけに取材し、判明した。(岡本遼、立石真一)

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