強化・普及活動が結実 競い合い“王国”へ前進【進化の証し 大津高サッカー準優勝】(下)

熊本日日新聞 | 2022年01月14日 10:30

全国高校サッカー選手権で準優勝し、表彰に臨む大津の選手たち=東京都の国立競技場(後藤仁孝)

 全国高校選手権で準優勝という熊本県勢初の快挙に県内サッカー界も沸いた。県協会の前川隆道会長(73)は大津イレブンの頑張りをたたえ「熊本の関係者が取り組んできた強化・普及活動が実を結んだ」と喜ぶ。

 全国大会常連の大津には県外からも有力選手が集まるが、決勝で先発した11人のうち6人は県内の中学・クラブ育ちだ。MF薬師田澪は小川中、GK佐藤瑠星は合志中の出身。主将のMF森田大智は天草のクラブに所属しながら、日本サッカー協会が開いたJFAアカデミー熊本宇城で心身を鍛えた。

 県協会主催のエリートプログラムやトレセン(選抜選手の強化育成)で力をつけた選手も多く、松下涼太・事務局長(38)は「チームの枠を超えて指導者が連携し、高校までうまくつながっている」と話す。

 九州勢では長崎や福岡、鹿児島、宮崎が全国高校選手権の頂点に立っているが、熊本もサッカー熱は高い。県協会によると、大人を含めた県内の選手登録者(約1万5千人)は九州で福岡に次ぐ。約500チームが活動し、慢性的な試合会場不足に悩まされるほど。このため県協会は人工芝のサッカーコート2面を取れる「県フットボールセンター(仮称)」を嘉島町に建設中だ。

 「熊本には能力の高い小中学生が本当に多い」と舌を巻くのは、ロアッソ熊本の元選手で育成コーディネーターを務める原田拓さん(39)。ロアッソ下部組織への勧誘のために県内小中学生チームの視察を続けており、育成にたけた指導者の多さも実感している。

 県内から植田直通(フランス2部・ニーム、大津高出)、荒木遼太郎(鹿島、ロアッソ熊本ジュニアユース出)ら日本代表選手を多数輩出。“金の卵”を発掘しようと、J1クラブや強豪高のスカウトも足しげく熊本を訪れている。

 高校では秀岳館や国府といったライバル校も強化に力を入れる。前回大会を含めて全国選手権に5度出場しているルーテルの小野秀二郎監督(49)は母校・大津の快進撃に発奮。「追い付けるように今まで以上に必死でやっていく」と力を込める。

 高校以外では発足13年目のロアッソユースが有力選手の受け皿となっている。大津に負けじと各チームが競い合えば、「熊本を全国有数のサッカー王国へ」(県協会)という目標も現実味を帯びそうだ。(河北英之)

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