銃弾の鉛 政府軍は英国産、薩軍は国内産 西南戦争で使用、熊本大など分析

熊本日日新聞 | 2021年12月26日 11:32

2009年に熊本市北区の山頭遺跡の政府軍陣地跡で出土したスナイドル銃の未使用弾(熊本市教委提供)

 熊本大大学院の細野高啓教授(地球環境科学)と琉球大、山形大、長崎県対馬歴史民俗資料館などの研究チーム(6人)は、西南戦争(1877年)で政府軍と薩摩軍が使った銃弾の鉛を分析し、それぞれの産地を特定したと9日付の国際考古学誌に発表した。鉛は政府軍が主に英国産、薩摩軍が主に国内産だった。

 西南戦争の銃弾の製造国は、歴史学や考古学の研究である程度は想定されていた。研究チームは、鉛に質量数の異なる原子(同位体)が数種類あり、構成比の分析によって産地を特定できることに着目。西南戦争の銃弾から試料を集めて鉛の同位体比を調べ、自然科学的な手法で詳細に裏付けた。

 調査に当たっては、山頭遺跡(熊本市北区)の薩軍塹壕[ざんごう]跡とみられる場所から出土したエンフィールド銃の未使用弾7点を分析。先行研究から引用した政府軍のスナイドル銃弾10点のデータと併せて検討したところ、薩軍銃弾の大部分が国産鉛、政府軍銃弾の大部分が英国産鉛を使っていることが分かった。

 チームは戊辰戦争(68~69年)以降に流通した銃弾についても調査。チームの溝田智俊・岩手大名誉教授(同位体化学)=久留米市=によると「当時、英国が鉛資源の世界的な流通をリードする中で、薩摩藩は国産鉛を原料に最新の洋式銃の銃弾を造る能力を持っていた」という。

 一方、政府軍銃弾の一部にも国産の鉛が含まれていた。チームは「鹿児島の弾薬製造所で国産鉛を使って独占的に造られていたスナイドル銃の弾を、政府軍が戦争直前に運び出したという歴史的記録と符合する」としている。(三國隆昌)

記事アクセスランキング

フォローする

  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • youtube