黄色い目印、登山者救う 場所特定の地名と番号 熊本・小川岳に独自整備

熊本日日新聞 | 2021年12月05日 07:34

山都町などが町内の山中に整備した登山道の目印のサンプルを手にする石井陽子さん=同町

 熊本県山都町と宮崎県五ケ瀬町の境界に位置する小川岳(1542メートル)で11月18日夕、熊本市の70代の男性2人組の日帰り登山者が道に迷い、下山できなくなった。連絡を受けた地元ツアー会社が救助に向かい、2人は無事に歩いて下山したが、役に立ったのは山都町などが山中に独自に整備していた「目印」だった。

 登山ツアーなどを実施している山都町のECO九州ツーリストの寺崎彰代表によると、2人組から「小川岳から下山中、道が分からなくなった」と連絡があったのは、午後4時20分ごろ。天気は良かったが、日没が迫っていた。小川岳周辺は標高が高く、夜は気温の低下が予想され、寺崎代表は「一刻も早い下山が必要」と判断したという。

 ただ、2人組はスマートフォンに登山アプリを入れていたが使い慣れておらず、現在地を把握できていなかった。そこで、寺崎代表が活用したのが、町などが2013年ごろから登山愛好家の協力を得て町内の登山道計約700カ所に設置した目印だった。

 目印は幅5センチほどの黄色の粘着テープで、木の幹や枝に巻いてある。場所を特定するための地名と番号が印字されており、その情報は警察や消防とも共有している。

 2人組は日没で暗くなって動けなくなったが、目印の地名と番号を伝えたことで、同社のトレイルコーディネーターで夜間登山の経験が豊富な石井陽子さん(50)が迅速に救助に向かうことができた。石井さんは「見つけた時は2人とも疲労していた。山中で一晩過ごせば命の危険があったかもしれない」と振り返る。

 今回、救助に大きな効果を発揮した目印だが、一部は風雨にさらされて読めなくなったり、はがれ落ちたりしているという。町山の都創造課は「必要があれば更新を検討したい」と話す。

 また、2人組が道に迷った原因の一つは、山中の木に結ばれているリボン。市町村による地籍調査のほか、登山者が独自に付けたものなど、山中にはさまざまなリボンがある。2人組はリボンに沿って歩くうちに、登山道を外れたとみられる。

 寺崎代表は「リボンに惑わされず、地図とスマホアプリで登山道をしっかり確かめながら歩いてほしい。迷ったと感じたら、目印を探して警察や消防に連絡を」と呼び掛けている。(鹿本成人)

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