野党、共闘でも票の奪い合い 【比例九州 20議席の戦い】㊦

熊本日日新聞 | 2021年10月23日 09:30

社民党候補の選挙事務所前を通過する立憲民主党の宣伝カー=21日午前、菊池市

 熊本の全選挙区で共闘し、自民党と相対する県内の主要野党。しかし、政党間で争う比例代表九州ブロックでは、各党の浮沈を懸けて票を奪い合う。

 「比例の投票は立憲民主党へ」。公示2日後の21日午前、立民の宣伝カーが菊池市内を回った。国道沿いにある3区の社民党新人候補の選挙事務所前に差しかかってもマイクの音量は絞らない。選挙区では“味方”でも、比例ではライバルという現実をのぞかせた。

 野党第1党の立民の誕生までには紆余[うよ]曲折があった。2017年の前回衆院選前。東京都知事の小池百合子が「希望の党」を設立すると、旧民主党の流れをくむ「民進党」が希望への合流を決めた。だが、民進の代表代行だった枝野幸男らは小池の政治手法に反発し、「立憲民主党」を旗揚げ。旧民主勢力は希望と立民に分裂して、選挙を戦った。

 立民は19年夏の参院選では結党時の勢いを失った。旧民主勢力の再結集の機運が高まり、18年に「国民民主党」を結党していた希望の議員らも加わって20年9月、新しい立憲民主党が船出した。

 今回の衆院選。立民は県内比例で30万票を目標に掲げる。前回トップだった自民の約31万8千票に迫る強気の数字だ。前回は希望と立民がともに14万3千票前後を獲得。合計では自民と遜色ない票を積み上げた。

 ただ、昨年、立民に合流しなかった議員が新たな国民民主党を結成。野党最大の支持母体の連合も、両党への支援で“またさき状態”になっている。

 県内では熊本1区と4区で立民候補を推薦するが、比例は傘下労組の意向を尊重。国民民主は宮崎と長崎に重複立候補者を1人ずつ擁立しており、同党を支援する熊本県内の労組幹部は「絶対に取りこぼせない。選挙区は立民だが、比例は国民民主だ」と言い切った。

 国民民主を支える労組の集票力は小さくない。立民県連代表の鎌田聡も「選挙区と比例票を完全に連動できればいいのだが…」と悩ましげだ。

 野党の再編で、社民党は昨年12月、所属国会議員4人のうち、前回、大分2区で比例復活し副党首も務めた吉川元と、大分県議出身で幹事長だった吉田忠智の2人が離党して立民入りした。これを受け、元首相で初代党首の村山富市を輩出した社民の牙城、大分では県内党支部が16から5に激減。佐賀や宮崎でも地方議員らの離党が相次いだ。

 前回、全国11の比例ブロックで社民が獲得したのは九州の1議席のみ。熊本県連合代表の今泉克己は「存亡を懸けた戦いだ」とし、虎の子の比例議席維持に全力を挙げる構えだ。県内では前回から6割増しの3万票を目標に設定した。

 かつては県内全選挙区に候補者を立てていた共産党も、野党共闘で足並みをそろえた。比例票の上積みには選挙区との連動が効果的なだけに、県委員長の松岡勝は「野党共闘は痛しかゆしではある」と明かす。

 それでも今回、野党が勝てば「閣外協力」することで立民と合意。来年は結党100年でもある。松岡は「共産のぶれない姿勢が有権者に届く」と、県内目標10万票に向けて力を込める。=敬称略
(衆院選取材班)

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