公明、自民に〝見返り〟期待 【比例九州 20議席の戦い】㊤

熊本日日新聞 | 2021年10月22日 08:00

熊本2区の自民前職の出陣式。支持者の手には「比例区は公明党」のチラシが握られていた=19日午前、熊本市南区(石本智)

 衆院選は小選挙区と並行して政党を選ぶ比例代表の戦いも熱を帯びている。連立や野党共闘も絡んだ政党間の駆け引きも見え隠れする中、各党は比例九州ブロックの20議席を巡って奔走する。

 熊本で13万5千票-。県内小選挙区に候補者がいない公明党は、九州ブロックで4議席を奪還するための比例の得票目標をこう設定した。4議席は前々回の2014年選挙で初めて達成した。しかし次の前回17年では3議席に逆戻り。今回がV字回復に向けた大きな分水嶺[れい]になる。

 公明県本部代表の城下広作は「前回は選挙直前に結成された立憲民主党と希望の党が耳目を集め、そのあおりを受けた」と振り返る。公明の県内得票は12万1907票。今回の目標達成には約1万3千票の積み上げが必要だ。

 ただ、新型コロナ禍で得意の戦術が制限される。支持母体の創価学会関係者は「集会に大勢集め、熱を伝えて支持を広げるのがうちの戦い方。それが難しいのは痛い」とこぼす。

 比例九州で7回当選を重ねた県関係の江田康幸が、党内規の定年制に該当して勇退した影響もありそうだ。前回の比例名簿上位で「次代のエース」との呼び声が高かった遠山清彦も、緊急事態宣言下に銀座のクラブを訪れたことが発覚して2月に議員辞職した。

 創価学会のベテラン会員は「遠山問題が一番きつい。学会の女性陣が最も嫌がる中身だからだ」と支持離れを懸念する。会員らの高齢化も相まって、05年の15万9756票をピークに減少傾向の得票状況を変えるのは容易ではない。

 ただ、8月の八代市議選では“光明”も見えた。擁立した2人が上位当選を果たし、前回から投票率が6・4ポイント下がる中でも合計得票数をわずかに伸ばした。

 奏効した戦術は、地域外からの支援者投入や知人伝いでの個々への働き掛けだった。城下は「衆院選も同じ手法を駆使して、県全域で徹底できるかどうかが勝負だ」と力を込める。

 自公連立20年超で定着した自民党支持層の協力も「前回より増える」と踏む。前回は、選挙区合区に伴う自民の候補者調整で、実力者の故園田博之が比例単独に回った。園田の比例当選を譲れない自民は選挙区で「比例は公明」と呼び掛けにくい事情があった。

 しかし今回は、選挙区候補者がいない公明が選挙区の票を自民候補に投じる一方、自民に比例票を求める協力関係に期待が増す。

 公示日の19日、熊本市で開かれた熊本2区の自民前職、野田毅の出陣式。終了後に野田が近寄った支持者の手には「比例区は公明党」と記されたチラシが、しっかりと握られていた。

 公明は2区、3区、4区の自民前職を推薦したが、中でも熱い視線を送るのが2区だ。自民の野田と無所属新人の西野太亮の保守系候補同士がしのぎを削り、そこへ共産党新人の橋田芳昭が割って入る。

 「激戦になるほど最後はうちの票が当落に効いてくる。当然、それに見合う比例票への協力は惜しまないはずだ」。城下は“見返り”に対する期待を隠さない。=敬称略(衆院選取材班)

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