熊本地震の復興住宅、孤立感にコロナ拍車 衆院選、被災者の選択 NPO「公助継続を」

  

熊本日日新聞 | 2021年10月20日 19:20

復興住宅「安永団地」の公民館で熊本学園大生が開いたカフェ。被災者の孤立を防ぐため、避難所、仮設住宅でも活動を続けた=17日、益城町

 熊本地震から5年半が過ぎ、被災者は避難所から仮設住宅、災害公営住宅(復興住宅)へと住まいを移してきた。生活の質は向上しているものの、最近は新型コロナウイルスの影響もあり、「避難所や仮設にいた頃が、誰かと話す機会は多かった」と孤立感を抱く人が少なくない。

 17日、益城町の復興住宅「安永団地」(93戸)の公民館で、熊本学園大の学生ボランティアがカフェを開いた。2020年9月に閉鎖されたテクノ仮設団地で続けていた活動を再開。安永団地は久しぶりに、にぎやかな声に包まれた。

 夫婦で入居する男性(85)は「きっかけがないと外に出てこない住民は多い。イベントはありがたい」と笑顔。一方で「仮設の集会所はいつも開いていて、自然と人が集まっていた。ここの公民館は普段閉まっていることが多いんです」と打ち明けた。

 同じ入居者の女性(82)は、玄関に自前の網戸を設けた。風通しを良くする以外にも「仮設の頃のように玄関先から声を掛けてもらいやすい」という理由があった。女性は1人暮らし。網戸を設けた住民は、ほかにもいるという。「同じような理由だと思います。誰とも話さない日を減らしたいから」

 熊本地震の復興住宅は12市町村で68団地・1715戸。20年3月、全ての建設が済んだ。21年3月末時点で、1657世帯が入居。県健康福祉政策課の集計では、このうち65歳以上の高齢世帯は5割超の837世帯、高齢の独居世帯も3割の548世帯に上る。

 熊本市中央区のマンション型復興住宅で1人暮らししている女性(64)は、入居直後に新型コロナの感染が拡大。外出自粛が続き、「ご近所とも顔見知りになれない」と嘆く。市の地域支え合いセンターの訪問もコロナ禍で限られ、「誰か話し相手がいるだけでも安心できるが、それもままならない」と寂しげだ。

 特定NPO法人・くまもと災害ボランティア団体ネットワーク(KVOAD[ケイボアド])=熊本市=の樋口務代表理事(60)は、国による被災者支援が仮設入居者までを対象とし、その後は福祉の対象となることを踏まえ、「福祉施策は自治体によって濃淡がある。復興住宅は家計や年齢、病気などの悩みを抱える人も多い。自助や共助を下支えする公助、切れ目や濃淡のない公助が必要だ」と指摘する。

 熊本学園大の学生たちは被災者の要望を受け、活動の場を避難所、仮設住宅、復興住宅と移してきた。経済学部4年の女子学生(22)は「集いの場を求める被災者のニーズは大きい。仮設が良かったと被災者が振り返るのはおかしい」と訴えた。(立石真一、堀江利雅)

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