熊本市、開票ミス許さぬ 20年知事選の「消えた109票」 再発防止策へ警備員配置

熊本日日新聞 | 2021年10月08日 06:50

知事選で票の枚数が合わず、集計をやりなおす熊本市の職員ら=2020年3月、熊本市中央区

 昨年3月の熊本県知事選の開票作業で「消えた109票」問題が起きた熊本市。31日投開票の衆院選では開票所に初めて警備員を配置し、職員らの持ち物検査を実施、ビデオカメラを導入するなど再発防止に力を入れる。ただ、同市は過去にも選挙事務でミスを繰り返してきただけに、市選挙管理委員会のピリピリムードは高まる一方だ。

 昨年の知事選では、中央区の開票作業で投票総数が投票者数より109票少ないことが判明。区選管は有権者109人による投票用紙の「持ち帰り」として処理し、開票結果を確定させた。「これだけの数を持ち帰りとするのは、一般的には受け入れられない。民主主義を揺るがす、由々しき事態だ」。大西一史市長は直後の記者会見で語気を強めた。

 109票が消えるという前代未聞のトラブル。市選管は原因究明のため第三者委員会を設置。検証の結果、票の不一致が生じた原因は特定できなかったが、開票所のセキュリティー対策の強化など再発防止策を提言した。

 市選管は第三者委の提言を受け、今回の衆院選から5区の開票所に民間警備会社の警備員を各1人配置することを決定。市職員と立会人、機器類を取り扱う業者ら約900人を対象に、退出時の持ち物検査を実施する。トイレなど一時的に持ち場を離れる場合も確認する念の入れようだ。

 さらに各開票所にビデオカメラを4台ずつ設置。開票作業の全体が撮影できるよう四隅に配置し、トラブルが発生した場合の検証や今後の事務の効率化に活用する。「知事選のようなミスを繰り返さない」(市選管)ための異例の厳戒態勢。再発防止策に要する経費は約290万円に上る。

 政令市移行後の2012年4月以降、同市では15回の選挙のうち8回で計12件のミスが起きている。第三者委は過去の事例も検証し「大くくりにはヒューマンエラーに起因する」と分析。調査の過程で実施した職員アンケートでは「積極的に選挙事務に従事したい」との回答が25%にとどまっており、職員の意識改革を強く求めた。

 第三者委の委員で一般社団法人・選挙制度実務研究会代表理事の小島勇人氏は「職員が選挙事務を『お手伝い』『頼まれ仕事』という意識でやった場合、必ずミスが起きる。選管だけでなく、職員全体が緊張感を持って事務に当たってほしい」と強調する。

 当初、11月7日が有力とみられた投開票日は、10月31日に1週間前倒しとなった。小島氏監修の研修動画で職員の意識改革を図ってきたという市選管。岡村公輝事務局長は「スケジュールがタイトとなり、緊張感が高まってきた。プレッシャーはあるが、正確に、迅速に、選挙事務を執行したい」と表情を引き締めた。(久保田尚之)

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