就活メークはマナーなの? 内定獲得へ「身だしなみ」事情
![黒や紺の就活向けスーツが並ぶ紳士服大手AOKIの熊本白山通り店=熊本市中央区](/sites/default/files/styles/crop_default/public/2021-10/aoki%20IP210924TAN000073000_02.jpg?itok=6Pi6upwD)
社会人を目指す高校生や大学生が避けて通れない「就活(就職活動)」。内定獲得へ、服装や髪形にまで細心の注意を払う学生は多いというが、熊日には「就活時の化粧『就活メーク』はマナーなの? 採用に影響する?」と読者からの疑問も。就活戦線における“身だしなみ事情”。今、どうなっているのか。(鬼束実里、上野史央里、山口尚久)
学生が就活の参考にするというガイド本の1冊「女子就活のキホン」(実務教育出版)。開いてみて驚くのは、業種別に望ましいメークからヘアスタイル、眉の描き方まで、詳しく“マニュアル化”されている点だ。就活と身だしなみの奥深い関係が浮かぶ。
来春、新社会人になる県立大4年の女子学生5人。就活時の化粧について尋ねたが、全員が「メークの正解は分からないままだった」と答えた。5人の進路は公務員や接客業などさまざま。ガイド本にあったように、業種ごとに気を使うポイントも違ったようだ。
採用側は、何をどう見ているのだろう。健康食品通信販売「えがお」(熊本市東区)は、面接に訪れる学生はスーツ着用と定めている。「基準があった方が学生が迷いにくい」と、あくまで学生本位の基準だ。
今春入社で人事部に配属された小倉遥華さん(23)も、就活支援サイトなどでメークや服装をあれこれ調べ、選考に挑んだ一人。ただ、正反対の立場の今は「かつて思い悩んでいたほど、採用側は外見を気にしていなかったことに気付いた」。
逆に面接の学生に、「カジュアルな服装」で来るよう伝えたのはコスギ不動産(同市中央区)。面接ではスーツ以外に半袖Tシャツや半ズボン、ブラウスなど、思い思いの服装が見られたという。
「多様性を尊重する考えが広がり、服装も柔軟に対応していかなければ」と人事課の宮本あおいさん(24)。加えて、学生は全員マスク着用のため、「マスクでスーツ姿だと本当に個性が見えない」というコロナ禍ならではの事情もあった。
お堅いイメージがある公務員は。国家公務員試験に合格した県立大4年の河合真奈さんは、「民間に比べ、公務員試験の受験者のメークは薄めだった」。
地方公務員である熊本市職員の採用試験要項をチェックした。筆記の1次試験ではスーツやネクタイの着用は求めないものの、面接などの2次試験では、「よくある質問」の答えに「スーツを着用している人が多い」とある。
職員採用に当たる市人事委員会事務局の榊正邦副事務局長に聞くと、「身だしなみは、社会性を評価する目安の一つとして参考にしている」ときっぱり。
一方で「『就活メーク』という言葉は知らなかった」と驚いた様子。「面接で化粧自体を見ることはない。でも思い返すと、確かに『化粧が派手だ』と感じた学生はいなかったような…」
言うまでもなく「人は見た目じゃない!」。だが悩める学生たちが、ガイド本を握り締める姿も現実だ。
![就職活動のマナーやルールなどを紹介したガイド本](/sites/default/files/styles/crop_default/public/2021-10/syuukatu%20IP210925TAN000108000_03.jpg?itok=VWrXdHug)
●バランスと清潔感大事に
今回、取材を担当した鬼束記者(23)と上野記者(22)は最近、就職活動を経験したばかりの若手記者だ。
鬼束記者は「もともと茶色基調で落ち着いたメーク。そのまま面接に臨んだ」が、濃すぎない口紅を選ぶのに苦労したという。上野記者はオンライン面接が増えたコロナ禍の中の就活。「自分の部屋では顔が暗く映るため、顔色が良く見えるような照明を購入するなど工夫した」と振り返る。
そんな上野記者と、20年以上前に就活(当時はそんな言葉はなかったが…)した先輩の山口記者(45)が、航空業界への就職を目指す学生らが通うワシントン外語学院(中央区)を訪問。客室乗務員(CA)として一緒に乗務する後輩の服装などをチェックし、面接官の経験もある女性に学生へのアドバイスをもらうためだ。
女性によると、就活の身だしなみで大事なのが総合的なバランスを考えること。「アイシャドーなどが濃すぎると、その色の印象だけが残ってしまう」。そこで彼女がよい参考例として挙げたのが、テレビのニュース番組を担当する女性アナウンサーのメーク。理由は「多くの視聴者に好感を持たれるよう、自然に見えるがしっかりメークしている」。
最後に女性は、これから就活を始める学生らに向けて一言、大事なアドバイスをくれた。「清潔感ある身だしなみを目指して」。
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