イノシシせっけん、収入源に 合志市の障害者施設 宇城市の若手農家ら原料

熊本日日新聞 | 2020年11月5日 12:00

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イノシシの脂身をミキサーにかける山本今朝一施設長。手前はイノシシ脂から製造したせっけん「サングリエ」=合志市

 新型コロナウイルスの影響で、売り上げ減少に悩む熊本県合志市の障害者就労継続支援事業所が、有害鳥獣対策に取り組む県内の若手農家らと協力して、イノシシの脂を使ったせっけんのインターネット販売を始めた。農地を守る活動を障害者の安定収入につなげる新たな形の“農福連携”として期待される。

 就労支援センター「テクニカル工房」はパンやクッキー、弁当などを製造販売している。3月以降、イベントでの出張販売が中止となったため、注文販売のチラシを企業などに配りPRした。

 4~8月の売り上げは前年比1・6%減にとどめたが、中元需要が終わった9月は35%減。山本今朝一施設長(71)は「新型コロナの収束が見えず不安が続く」と悩んでいた。

 一方、県内の若手農家でつくる「くまもと☆農家ハンター」(宇城市)は、捕獲したイノシシをジビエ(野生鳥獣肉)として販売。廃棄していた背脂や内臓脂肪の活用法を模索する中、共通の知人の仲介で同工房との連携が実現した。

 同工房では、解体施設から引き取った脂身を水分と分離させ固形化。それを福岡の製造業者に送って、洗顔用せっけんとして加工してもらう。完成品は同工房で箱詰めし、発送も担う。

 山本施設長は「施設利用者と職員で作業を分担し、安定した工賃収入につなげたい」と話す。イノシシせっけん「サングリエ」は1個(80グラム)3千円。農家ハンターのホームページから購入できる。(木村恭士)