中心街の下水臭をなくそう 熊本市、雨水枡にキャップ

熊本日日新聞 | 2020年10月26日 16:00

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雨水枡に防臭キャップを取り付ける市上下水道局の職員ら=熊本市中央区

 熊本市の中心商店街で長年、商店主らを悩ませてきた下水の臭いに関し、市が9月に下通アーケード入口付近で実施した初の一斉調査で、多くの店舗が臭気を感じたことがあると回答した。市は臭いの元を絶つための器具設置を進め、今後も苦情があれば対応するとしている。

 「雨の日や夏場は特に臭いがきつく、店内に充満することがある。お客さんに臭いと言われたことも…」と、老舗手芸店「マキノ」の牧野孝信社長。市がアーケード入り口近くのビルや店舗31軒にアンケートしたところ、頻度や時間帯はまちまちだが、約半数が「臭気を感じたことがある」と答えた。

 原因として考えられるのは、道路に設けられた雨水枡[ます]からの臭い。地下の貯水槽や下水道管内を流れる汚水の腐敗で発生する硫化水素ガスで、卵が腐ったような特有の臭いがするという。

 市によると、中心市街地では汚水と雨水を同じ下水管で処理する「合流式」を採用している。これは雨水枡が密閉されていないため、汚水の臭いが漏れやすいという。

 防臭に有効なのが雨水枡からの臭いを軽減する「防臭キャップ」の取り付け。雨の際は水を升に流し、雨が降っていない時はふたが閉じるため臭いが漏れにくい仕組み。

 行政にキャップの設置義務はないが、市は臭気に対する苦情や通報があった場合に現地を調査し、キャップを取り付けてきた。今回一斉調査した城見町通り、三年坂通りなど6区域では、雨水枡126カ所のうち71カ所に既に設置されていた。

 しかし今年7月、大雨で中心市街地の一部が浸水した際やその後に、臭いに関する通報が相次いだ。このため、特に防臭効果が見込める4カ所に追加で設置した。

 市は6区域以外にも悪臭問題がないか調査中。市管路維持課は「苦情の多いところから計画的にキャップを設置したい」としている。(志賀茉里耶)