近所で巨大クワガタ捕まえた! 熊本市の小学生 専門家「外来種、逃がさず大切に育てて」

熊本日日新聞 | 2020年9月22日 09:14

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男の子が熊本市の山で捕まえた9センチのヒラタクワガタ。手の平に収まりきれない大きさだ(本人提供)

 熊本市西区の小学6年生の男の子が「近所の山で体長9センチのヒラタクワガタを捕まえた」と、熊日の「SNSこちら編集局」(S編)に連絡をくれた。「9センチは大きいの? 在来種? 飼育方法は?」。ワクワク感いっぱいの質問を託され、専門家を取材すると、巨大クワガタの正体だけでなく、人気昆虫を取り巻く環境問題にもたどり着いた。

 このクワガタは13日の日中、桜の木に止まっているのを偶然見つけたという。捕獲場所は市街地近郊だ。

 クワガタに詳しい熊本市動植物園飼育員の松成忠広さん(54)に見てもらうと、「在来種ではあり得ない大きさ。インドネシア・アチェ州原産のスマトラオオヒラタクワガタです」と断言。大あごの手前に突起があるのが特徴の最大級のクワガタで、1万円前後の価格で流通している。

 「体に傷がないので今年生まれた個体。おそらく誰かが飼育していたのが逃げたのだろう」と松成さん。「9センチは同種では標準的だが、雑種でそこまで大きくなることは、ほぼない」と話す。

 ただ松成さんは、このクワガタが山で捕獲されたことを心配する。外国産のカブトムシやクワガタが国内で野外に放たれると、在来種の生態系を壊しかねないからだ。特にヒラタクワガタは在来種と交配しやすく、日本の環境にも適応するという。

 「餌は昆虫ゼリーのみで、極端に暑くも寒くならない室内で飼育すれば3年は生きる。冬場は休眠状態に入るが、春までそっとしてあげること。決して外に逃がさず、最後まで大切に育ててほしい」とアドバイスしてくれた。(岩下勉)