「止まれ」ではなく「ゆずれ」です 環状交差点の路面表示 交通ルールや罰則は?
4月にオープンした熊本県御船町の「コストコホールセール熊本御船倉庫店」近くの二つの町道交差点は、「止まれ」ではなく、「ゆずれ」と書かれている。県内3、4カ所目となる環状交差点(ラウンドアバウト)だ。ただ慣れない路面表示に、戸惑う車両も少なくないようで、交通ルールや罰則などを調べた。
同交差点は中央が円形で、信号機がなく、車両が右回り(時計回り)に通行するルールだ。通行車両をしばらく見ていると、「ゆずれ」のところで「止まる」車や減速しないドライバーもちらほら。ウインカーの使用もばらばらだ。
「他の車両や歩行者がいない場合は一時停止の必要はない。環状交差点は徐行しながら進入してほしい」と御船署の大楠弘幸交通課長。
「ゆずれ」は、環状交差点内の車両を優先するよう促すための表記で、法的決まりではないが、全国で広く用いられている。
交差点内に進入する際は、ほかの車両があればその後に徐行で続く。左端に寄って時計回りに通行する。交差点を出る場合は、ウインカーで合図しなければならない。
環状交差点は2014年の改正道交法で交通ルールが定められ、全国で導入が進んだ。県内には18年以降、合志市、宇城市に各1カ所設置。御船町には今年3月に完成した。南関町の新庁舎前にも近く整備される予定だ。
直進時でも車両が減速するため、出合い頭の事故の減少が期待できるほか、右折時に対向車の通過待ちをする時間がなく、スムーズな通行につながる。また信号機の維持管理も不要で、災害による停電でも影響を受けない。
交差点にはトラックが書かれた標識もある。こちらは全長12メートル以上のトラックは内輪差があるため、左折する際は1周ぐるりと回ってから交差点を出るよう呼び掛けるものだ。
一方、「ゆずれ」の場所で譲らないと、道交法の環状交差点通行車妨害等の違反となり、点数は2点(普通車反則金7千円)で、一時不停止と同じ罰則を受ける。また反時計回りで通行した場合は、逆走ではなく環状交差点左折等方法違反に当たり、点数1点(同4千円)となる。
大楠課長は「これからも環状交差点は県内各地で増える見込み。初めてでも戸惑わないよう通行方法を理解し、ルールを守ってほしい」と呼び掛ける。交通ルールはもちろんだが、“譲り合いの気持ち”も大切にしたい。(立石真一)
◆「SNSこちら編集局『それ、調べます』」は、読者から寄せられた身近な疑問や困りごとを、記者が深掘り取材する双方向型の調査報道企画です。LINEで「友だち」追加していただくと、取材班への情報提供やチャットでのやりとりができます。意見募集やアンケートなども実施します。投稿フォームなどからの情報提供も受け付けています。https://kumanichi.com/localjournalism/
RECOMMEND
あなたにおすすめPICK UP
注目コンテンツNEWS LIST
熊本のニュース-
くまもと復興映画祭「被災地の能登・台湾に思いはせて」 行定勲ディレクター思い語る 熊本市と菊陽町で11月30日~12月1日
熊本日日新聞 -
上天草市の温泉施設「スパ・タラソ天草」でレジオネラ菌検出 基準値の4~22倍 23日から営業停止
熊本日日新聞 -
八代妙見祭 神幸行列にぎやかに 亀蛇の演舞も
熊本日日新聞 -
石綿訴訟控訴審 上天草の工場など2社に賠償命令 福岡高裁
熊本日日新聞 -
御船高(御船町) 文化芸術から産業技術まで多彩に
熊本日日新聞 -
「飲酒運転、起こさせない熊本を」 職員が事故死した熊本市が動画公開 忘年会など年末へ呼びかけ強化
熊本日日新聞 -
【水俣病関西訴訟 最高裁判決20年】行政の不作為立証した弁護団 「国と県は責任を果たして」 被害者救済、残る課題
熊本日日新聞 -
半導体教育で修学旅行を誘致 大津町の観光協会が今秋から 利用した高校生らにも好評
熊本日日新聞 -
【解説】安全不十分「計画通り」困難に 熊本市電の上下分離、25年4月移行見送り
熊本日日新聞 -
熊本市電「上下分離」延期「安全確保のため」 熊本市長が説明 25年4月移行予定を先送り
熊本日日新聞
STORY
連載・企画-
移動の足を考える
熊本都市圏の住民の間には、慢性化している交通渋滞への不満が強くあります。台湾積体電路製造(TSMC)の菊陽町進出などでこの状況に拍車が掛かるとみられる中、「渋滞都市」から抜け出す取り組みが急務。その切り札とみられるのが公共交通機関の活性化です。連載企画「移動の足を考える」では、それぞれの交通機関の現状を紹介し、あるべき姿を模索します。
-
学んで得する!お金の話「まね得」
お金に関する知識が生活防衛やより良い生活につながる時代。税金や年金、投資に新NISA、相続や保険などお金に関わる正しい知識を、しっかりした家計管理で安心して生活したい記者と一緒に、楽しく学んでいきましょう。
※次回は「家計管理」。11月25日(月)に更新予定です。