我慢の大型連休 心のつながり保ちながら

04月29日 09:18

 きょうから大型連休が始まる。とはいえ、旅行を楽しんだり、離れて暮らす家族や友人の元を訪ねたりするのは難しい状況である。新型コロナウイルスの感染が全国で再び急拡大する中、できることは限られる。「密」を避け、マスク着用や手洗いといった感染防止の自衛策を徹底しながら、我慢の日々を過ごすほかなさそうだ。

 ただ、ステイホームを続けることで心のつながりまで失ってはなるまい。家族や友人、隣人らが孤立し、体調不良や経済的困窮に陥ってはいないだろうか。そうした思いやりの気持ちをコロナに奪われないようにしたい。

 直接会うことはできなくても、電話やインターネットなど代替の手段はある。互いに声を掛け、励まし合うことは、異変を速やかに察知して対処するためにも欠かせない。何げない会話や少しの気遣いが、自殺願望やドメスティックバイオレンス(DV)、児童虐待といった危機から相手を救い出すこともある。

 東京、大阪、京都、兵庫の4都府県では3度目の緊急事態宣言が発令中で、特に関西圏では医療体制の逼迫[ひっぱく]が顕著だ。宣言発令の前段にあたる「まん延防止等重点措置」の適用対象も、宮城、沖縄、埼玉、千葉、神奈川、愛媛の6県に増えている。

 感染再拡大は熊本も例外ではない。県は23日に県内の警戒リスクレベルを最上位の「5(厳戒警報)」に引き上げたが、感染者はその後も増加。29日からは、熊本市中心部の酒類を提供する飲食店に営業時間の短縮を要請することになった。経路不明の感染も増えているとして、荒尾市、玉名郡市、熊本市の住民には不要不急の外出を自粛するよう求めている。

 熊本市も25日、市内の病床使用率が50%に達したとして、市独自の「医療非常事態宣言」を発令した。熊本城天守閣内部の一般公開が延期となったほか、5月6日に市内で予定されている東京五輪の聖火リレーも、公道での実施は見送られる方向だ。

 蒲島郁夫知事は県民に対し、「変異株の影響もあり、感染状況は急速に悪化している。大型連休は家庭で穏やかに過ごしてほしい」と呼び掛けた。

 呼び掛け自体に異論はないが、営業時間の短縮を求められた飲食店からは「行政は時短要請を繰り返すばかり」「ほかに対策はないのか」といった声も上がっている。時短に協力した店に支払われる協力金についても、受け止めはさまざまだ。

 穏やかに過ごしたくても過ごせない県民は、飲食店関係者だけではない。人流抑制による感染拡大の防止が最優先ではあるが、さまざまな対策が講じられる中で苦境に陥った人々への目配りと手厚い支援も、行政の大切な責務だ。繰り返し押し寄せる感染拡大の波を自助と共助でしのいでいる県民に対し、明日への希望が湧くような施策で応え、明確で納得できるメッセージを発信し続けてもらいたい。

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