白血病克服 30歳プロゴルファー、感謝を胸に復活

熊本日日新聞 | 2021年04月29日 16:00

所属クラブで練習する吉村明恭選手。「曲がらない正確なショット」に磨きを掛ける=23日、千葉県我孫子市

 東京五輪競泳代表の池江璃花子選手(20)のように、白血病を克服し、勝負の世界に復帰したプロゴルファーがいる。熊本県合志市出身の吉村明恭[あきのり]選手=千葉県我孫子市=は半年に及ぶ闘病を経験。「『当たり前』のありがたさに気付かされた」と語る30歳は、周囲への感謝を胸にさらなる飛躍を遂げようとしている。

「何か調子悪い。風邪にしては長引くな」

 2019年冬、体調の異変は突然だった。熱っぽく、頭がぼーっとし、痰[たん]に血が混じる。コースの坂道で息が上がる。「もう年かなぁ」と仲間とふざけた。だが、仕事を休んでもすぐにぶり返す。12月19日、急性骨髄性白血病の診断を受け、即日入院した。

 兄姉の影響で10歳でゴルフを始めた。菊池高から強豪の中央学院大(我孫子市)に進学。卒業後は名門の我孫子ゴルフ倶楽部に所属し、2年目でプロテストに一発合格した。

 身長157センチと小柄でショットの正確性が持ち味。好不調はあるものの成長の手応えを感じていた。19年シーズンは、2軍戦に相当する下部ツアーに初めてフル参戦。優勝争いも経験してトッププロがしのぎを削るレギュラーツアー参戦も現実味を帯び始めていた。

 上り調子での病気宣告。不安の中、抗がん剤治療を始めたが「熊本の家族や、友人たちが支えてくれた。試練と思って乗り切れた」と振り返る。入院中にはインスタグラムで闘病生活を発信。検査の痛みや副作用による体調不良をつづりながら、毎回、感謝や自らを鼓舞する前向きな言葉で締めくくった。

 同時期に白血病と闘った池江選手の退院も支えになり、「ここにいることが奇跡だし、生きていることが奇跡」との言葉に強く共感した。「健康でゴルフをできることは当たり前じゃない。感謝を返すためにもっと頑張れる」と前を向くことができた。

 計179日の入院生活を経て、20年6月に退院。インスタには、復帰後第1打の動画とともにこう投稿した。

 <最初はとても不安でしたが、本当にたくさんの人たちに励まされ、支えてもらったおかげで、常に前向きな気持ちで乗り切ることができました>

 9月にツアーに復帰し、4戦のうち2戦で予選通過。体力も試合感覚も戻ってきたという。当面の目標は下部ツアーでの優勝とレギュラーツアーへの昇格だ。「同じ病気の人の希望になりたい」。試練が変えてくれた“新たな自分”を奮い立たせている。(並松昭光)

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