柏崎刈羽原発 「再稼働ありき」見直しを

04月17日 09:17

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の核物質防護不備問題を巡り、原子力規制委員会は東電に対し、同原発のプールに保管されている核燃料の移動を禁じる是正措置命令を出した。事実上の運転禁止命令で、燃料を原子炉に装塡[そうてん]できなくなり、再稼働は当面不可能になる。

 是正措置命令は、テロリストの侵入などにつながりかねない状況が長期間にわたり放置されるなど、安全管理のずさんさが次々に発覚したためだ。商業炉に出されるのは初めてだが、福島第1原発事故から10年を経ても、東電の安全軽視の体質がうかがえる以上、当然の判断だろう。

 柏崎刈羽原発は全7基が停止している。東電はこのうち7号機を早期再稼働させることで経営を改善し、福島第1原発の廃炉や賠償費用を捻出する計画だった。しかし、規制委の命令により、再稼働は見通せなくなり、経営再建計画の前提は崩れた。核物質防護の不備という自らの失態から、経営の根幹を損ねた形だ。

 禁止期間は「東電の自律的な改善が見込める状態」になるまで。規制委は1年以上かけて、関係者の核物質防護への認識などについての追加検査を実施する。東電に原発を運転する適格性があるのか、経営陣の責任も含めて厳格に問い直してもらいたい。

 追加検査の結果次第では、原子炉の設置許可自体が取り消しになる可能性もある。最悪の場合、福島第1原発の廃炉や賠償費用にしわ寄せが及びかねない。さらに、新潟県議会で東電への批判が相次ぐなど地元自治体も態度を硬化させており、再稼働に同意してもらうには信頼回復の時間が必要だ。東電は「柏崎刈羽再稼働ありき」の姿勢を改め、廃炉・賠償の計画自体を見直すべきではないか。

 福島第1原発の事故以降、原発のテロ対策は強化されたはずだった。にもかかわらず、柏崎刈羽原発では、昨年3月以降、計15カ所で核物質防護設備が故障し代替措置も不十分だったため、テロ目的などの侵入を検知できない状態だったことが、今年2月の規制委の検査で発覚。今年1月には、所員が同僚のIDカードで中央制御室に不正入室していたことも判明した。

 規制委も核物質防護設備の不備を見抜けず、不正入室の発表遅れなど対応の甘さも露呈した。東電以外の原発でも構内立ち入り時の本人確認ミスなどが散見される。信頼を取り戻すため、核防護の意識を高め実効的な検査の実施に取り組んでほしい。

 政府は、菅義偉首相が昨秋の就任早々に打ちだした温室効果ガス実質ゼロに向け、エネルギー政策見直しの議論を本格化させている。経済産業省は発電コストなどの面から原発の必要性を強調する構えだが、安全確保や信頼性の面で疑問符がついた。国民の間では、脱炭素化と共に、脱原発の機運も高まりつつある。太陽光、風力などの拡充も選択肢に入れた議論を求めたい。

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