熊日文学賞に内田良介さん詩集「ギフト」 余分そぎ落とし、平易な言葉に普遍性
第66回熊日文学賞の本選考会が30日、熊本市中央区のホテル日航熊本で開かれ、詩人の内田良介さん(77)=同市=の詩集「ギフト」(土曜美術社出版販売)の受賞が決まった。
「ギフト」は2014年以降に編んだ詩22編で構成。自身の家族や、カウンセラーとして関わった子どもなど身近な人に向けた詩が並ぶ。「余分をそぎ落とした分かりやすく平易な言葉には力があり、普遍性がある」「分断が進む現代と深く切り結んだ対話的な詩に希望を感じる」などと評価された。
熊本市出身の内田さんは、1974年に福岡県庁に入庁。児童相談所などで問題に直面する子どもたちの支援を続け、退職後は熊本県内でスクールカウンセラーをしながら詩人として活動してきた。詩集の刊行はギフトで6作品目。これまで熊日文学賞の候補作にも何度も選ばれていた。
本選考会では最終候補に残った、吉本由美さんと田尻久子さんの「熊本かわりばんこ」、玉木讓さん「日本二十六聖人 三木パウロ・殉教への道」、松井浩章さん「大逆事件と連合赤軍 極北の革命兵士」、公募小説の稲冨伸明さん「宿縁と邂逅[かいこう]」、柳宗一郎さん「小説『身代わり平中流離の行方』発表」、森水菜さん「霧中の交差点」、野口実柑さん「なみだ石」についても議論した。
2023年12月から24年11月までに出版・発行された熊本県内在住者の小説、エッセー、評論、ノンフィクション、歌集、句集、詩集などに加え、一般公募の小説を対象に選考した。
選考委員は古江研也(熊本高専名誉教授)、岩岡中正(熊本大名誉教授)、浜名理香(歌人)、松下純一郎(島田美術館長)の4氏。(澤本麻里子、山本遼)
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