アウシュビッツ跡で追悼式典 虐殺生存者「世界は危機」
【オシフィエンチム共同】第2次大戦中のナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)を象徴するアウシュビッツ強制収容所の解放から27日で80年となり、ポーランド南部オシフィエンチムの収容所跡で追悼式典が開かれた。56人の生存者が出席。各地で紛争が続き、排他主義も広がる中「世界は危機に直面している」と警鐘を鳴らした。当時を語ることができる生存者の多くは90代で、記憶の継承が課題となる。
ガス室に送る収容者を選別した「死の門」付近に設けられたテントでの式典には約50カ国の元首や首脳らを含む約2500人が参列。元首らは惨事を繰り返さないため風化防止に取り組むと誓った。生存者の証言を重視し、元首らの演説はなかった。
スピーチした生存者のマリアン・トゥルスキさん(98)は「憎悪は戦争につながる。隣人間の問題を解決する勇気を持つべきだ」と訴えた。
5歳半で母親と収容所に送られたというトーバ・フリードマンさん(86)は「私たちには、憎しみは憎しみを生むと警告する義務がある」と力を込めた。