公的年金1・9%増へ 25年度、実質0・4%減
厚生労働省は、2025年度の公的年金支給額を前年度比1・9%増額する方向で調整に入った。基準となる賃金上昇率を2・3%と見込む一方、支給額を抑制する仕組みがあるため、実質0・4%分減る。年末の予算編成で詳細を詰める。関係者が20日、明らかにした。
25年度の年金額(1956年4月2日以後に生まれた人)は、自営業者らの加入する国民年金(基礎年金)が満額で月額約1300円増の約6万9300円。会社員らが加入する厚生年金は、平均的な給与で40年間働いた夫と専業主婦のモデル世帯で、基礎年金部分も含め月額約4400円増の約23万4900円となる見通し。
抑制の仕組みは「マクロ経済スライド」と呼ばれ、年金財政が安定するまで続ける。適用は3年連続。04年の導入以降6回目となる。
公的年金は、賃金や物価の変動を踏まえて毎年度、支給額を改定する。
厚労省は改定の基準となる近年の賃金上昇率を2・3%、24年の物価上昇率を2・7%と見込む。二つを比べて物価の方が大きい場合、賃金の数値を改定基準とするルールがある。