「4年後は2個メダルを」 車いすテニス女子複で金メダルの田中愛美、出身地の菊陽町訪問 パリ・パラリンピック
パリ・パラリンピックの車いすテニス女子ダブルスで日本勢初の金メダルを獲得した田中愛美選手(28)=長谷工コーポレーション=が15日、出身地の菊陽町役場を訪れ、地元住民らに応援への感謝の言葉を述べた。吉本孝寿町長は「町の誇り。これからも応援したい」と話し、町PR大使の委嘱状を手渡した。
田中選手は上地結衣選手(三井住友銀行)とのペアで悲願の優勝を果たした。町役場では大きな拍手で出迎えを受け、「たくさんの方の応援を感じながら決勝に臨むことができた。4年後は(シングルスとダブルスの)2個メダルをかけられるようにしたい」と意気込んだ。
菊陽町在住だった祖母は4月に82歳で亡くなった。田中選手は「今回の帰郷でちゃんとお別れと金メダルの報告ができた。天国でも孫を自慢してくれていると思う」と涙を浮かべた。
田中選手はこの日、熊本県知事公邸も訪問。決勝をパブリックビューイングで観戦した木村敬知事は「厳しい試合だったが、素晴らしい逆転劇だった。県民も喜んでいる」と称賛した。(萩原亮平)
◆優勝の瞬間「解放感が大きかった」 田中愛美・一問一答
パリ・パラリンピック車いすテニス女子ダブルスで金メダルを獲得した田中愛美選手(長谷工コーポレーション)が15日、帰郷中の菊陽町で報道陣に決勝の激闘などを振り返った。(萩原亮平)
─決勝にはどんな精神状態で臨みましたか。
「試合前は、生まれて初めて緊張で吐きそうになった。決勝のコートに入った4選手の中で『自分が一番弱いから、負けても誰にも責められない』と考えて心が軽くなった」
─決勝は3時間に及ぶ熱戦でした。
「一つ一つの得点を大事に、集中力を切らさないように心がけた。マッチポイントを握った時は、どんな形でも相手コートに球を入れることを優先してプレーした」
-勝利が決まった瞬間の気持ちは。
「ラリーが長く続く試合だったので勝利を決めた瞬間は、やっと終わったという解放感が大きかった」
─3年前の東京大会から飛躍しました。
「東京ではメダル争いに絡めず、大会が終わる前に自宅に戻った。テレビで観戦しながら、画面の向こう側の人間になるんだという気持ちが強くなった」
─3歳まで住んでいた菊陽町への凱旋(がいせん)となりました。
「高校1年で車いすになるまでは毎年、帰郷していたし、知り合いが『大きくなったね』と声をかけてくれてうれしかった」
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