損保調査員、5年で2割減 なり手不足と高齢化
損害保険大手4社で交通事故などによる車両の損害を調査する専門職の人員が2024年に計3682人となり、この5年間で2割弱減ったことが14日、分かった。なり手不足と高齢化による離職が同時に進んだのが主な理由だ。調査態勢の弱体化が中古車販売大手の旧ビッグモーター(BM)の不正横行を招いた側面があり、対策が急務となっている。
専門職は「アジャスター」と呼ばれる。東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険を傘下に持つMS&ADホールディングスでは19年に計4410人いた。5年間の減少率は13~23%とばらつきはあるが、大手4社とも右肩下がりで減った。なり手不足は車の所有や運転に関心を持たない若者が増えた影響もあるという。
損保ジャパンは蜜月関係だったBMに対し、アジャスターの減少を背景に内容を省略した「簡易調査」という手法を適用。BMではゴルフボールを入れた靴下を振り回して損傷の痕跡を付けるといった不正がまん延したが、チェック機能が働かず、簡易調査は廃止に追い込まれた。