熊本在住の外国人支えて30年 熊本市国際交流会館 相談窓口や日本語教室…相互理解、共生へ貢献
熊本市国際交流会館(同市中央区)が、開館30年を迎えた。時代とともに役割が変遷する中、市民と外国人との交流会の開催、各種相談の受け付けなどを通して熊本で暮らす外国人を支援してきた。台湾積体電路製造(TSMC)進出などに伴い在住外国人が同市でも急増する中、さらにきめ細やかな対応が求められる。
「ごみの分別が複雑」「あいさつを返してくれない日本人がいる」「日本人と交流したいけど機会がない」-。1日、同館を運営する一般財団法人「熊本市国際交流振興事業団」が開いた市民と市在住外国人との交流会。参加した外国人は、日常生活で感じた困り事を次々と口にした。
同館は1994年、市が約41億円をかけて整備。地上7階、地下2階で、大ホールや、日本文化を体験する茶道室などを備える。市の国際交流戦略の拠点として、開館当初から同事業団が運営を担っている。
開館当時は都市間の国際交流が全国的に盛んで、同市も中国・桂林市やドイツ・ハイデルベルク市などと友好、姉妹都市を締結。同館の主要な目的も「国際理解」に置いた。今では「異文化理解」「多文化共生」へと変遷。開館当初から携わる事業団の勝谷知美事務局長(55)は「活動内容は変わらないが、担う役割は時代に合わせて変化している」と振り返る。
在住外国人が右肩上がりに増える中、市は2019年、館内に「外国人総合相談プラザ」を開設。医療や住居、行政手続き、心の悩みなどさまざまな相談に専門知識を持つ弁護士や行政書士も交え対応してきた。23年度は約700人、計約900件の相談に応じた。
ビザ(査証)変更などの相談で同プラザを利用したドミニカ共和国出身の会社員の男性(29)=同市=は「言語や文化が違う日本での生活で困っている外国人は多い。スタッフは一生懸命に対応してくれる」と感謝する。
市によると、今年8月1日現在の市在住外国人は、30年前の3・4倍の9970人。今後もさらなる増加が見込まれる。共生社会の実現へ地域住民と外国人の相互理解、円滑なコミュニケーションが欠かせない中、市民団体「コムスタカ─外国人と共に生きる会」の中島眞一郎代表(69)は「事業団だけに任せずに、行政も共に対応することが必要だ」と訴える。
共生のヒントは、事業団が市内各地で開く外国人を対象にした日本語教室にありそうだ。住民間や職場での良好な関係づくりに役立っている。また、日本人向けにメキシコやドイツなど約10カ国の文化や言語に理解を深めるイベントも定期的に開いており、県立大2年の女子学生(19)は「気軽にネーティブから学べる機会があるのはとてもいい。その国の文化を理解しやすい」と話す。
外国人とともに生きるあすの熊本市へ。勝谷事務局長は「国際交流会館を拠点に地域と外国人をつなぎ、多様な人たちが共に支え合う社会づくりにこれまで以上に貢献したい」と意気込んでいる。(米本充宏)
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