形見のピアス、輝き今も 上智大生殺害28年で姉

共同通信 2024年9月6日 16:49

 1996年に東京都葛飾区の自宅で上智大4年の小林順子さん=当時(21)=が殺害、放火された事件は、未解決のまま9日で発生から28年になる。姉の熊田亜希子さん(53)=岐阜市=は妹がくれた金色のピアスを大切にしている。「妹が生きたかった日々を、しっかりと生きていく。見守ってくれていると思う」。数少ない形見は、今も変わらず輝いている。

 96年9月7日、留学で4日後に米シアトルへ旅立つ順子さんに、食事に誘われた。仕事や学業で互いに忙しく、めったになかった2人での外出。駅のホームや店で、恋人との近況など、たわいない話に花が咲いた。帰りに寄った店で選んでくれた藤色の花柄ワンピースを買った。事件2日前のことだった。

 警察署の遺体安置室で会った妹は、悲しげで泣き疲れたような表情を浮かべていた。自宅は燃やされ、花柄のワンピースは一度も袖を通すことなく焼けた。同じものを探したが見つからず、似たものをひつぎに収めた。

 希望にあふれていた妹の未来は突然途絶えた。なぜ、どうして。消えない思いを抱え続けている。

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