TSMC第1工場南側に新たな工業団地 熊本県菊陽町が調査へ 農地25ヘクタール 第3工場も念頭か
熊本県菊陽町は5日、台湾積体電路製造(TSMC)の第1工場の南側で、新たな工業団地の整備に向けた調査に入ることを明らかにした。県道大津植木線を挟んだ農地約25ヘクタールを想定。第1工場の東側では第2工場の用地造成が進んでおり、県が誘致を目指す第3工場の立地も意識しているとみられる。
町議会一般質問で答弁した吉本孝寿町長は、第1工場の南側が半導体関連企業の集積地として「重要性が増している」と説明。調査によって「工業団地として適地と判断された場合は速やかに整備を進める」と述べた。
調査で想定している農地は、町が2020年度に策定した「都市計画マスタープラン」で「守るべき農地ゾーン」に位置付けた。周辺環境の変化を踏まえ、町はプランの見直しを進めており、工業団地整備に向けた調査結果も反映させる。
吉本町長は「今後も予測される半導体関連企業の集積や投資に備え、町主導で受け皿をつくりたい」と強調した。工業団地への立地を期待する企業名には触れなかった。
町は今月11日、12日に地権者向けの説明会を開催。住民向けの説明会は10月上旬を予定している。その後に調査に入り、開発区域の設定、事業費、整備スケジュールについて詰める。工業団地の適地かどうか、25年3月までに判断する。
TSMCは、生産子会社のJASMが菊陽町に日本で初めてとなる第1工場(敷地面積約23ヘクタール)を建設し、年内にも量産を始める。隣接地で用地を造成中の第2工場(約32ヘクタール)も27年末までに稼働させる計画だ。
第3工場については今年6月、TSMCの魏哲家会長兼最高経営責任者(CEO)が「地元住民の賛同」が前提になることを示唆している。
第1工場では回路線幅12~28ナノメートル(ナノは10億分の1)の演算用ロジック半導体、第2工場では国内最先端の6~7ナノメートルの半導体を生産する予定。第3工場ではさらに微細な半導体の製造も想定されている。(草野太一)
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