熊本市、下水道汚泥を肥料に 資源化へ試験 処理費用の節減にも期待

熊本日日新聞 2024年7月20日 22:50
下水汚泥を活用した肥料を試験的に利用している熊本市上下水道局の花壇=10日、同市中央区
下水汚泥を活用した肥料を試験的に利用している熊本市上下水道局の花壇=10日、同市中央区

 熊本市上下水道局が、下水処理で発生する汚泥を肥料として資源化する取り組みを始めた。燃料や建材などに活用している有効利用の一環で、処理費用の節減効果も期待する。6月中旬から上下水道局と西区役所の花壇で試験的に使用しており、市販の化学肥料と生育状況を比較し有効性を確かめる。

 下水汚泥の肥料化は、輸入に頼る原料の価格高騰を受けて国が推進。全国の自治体に広がっている。

 熊本市では1日に約80トンの汚泥が発生する。このうち約50トンは南部浄化センター(南区)の固形燃料化設備で石炭の代替燃料に加工し、県外の火力発電所に有価で供給している。残りも堆肥やセメント原料などとして全量を活用しているが、民間への処理委託などで2023年度は5億4312万円の経費がかかった。

熊本市上下水道局が下水汚泥を活用して作った肥料=10日、同市中央区
熊本市上下水道局が下水汚泥を活用して作った肥料=10日、同市中央区

 肥料化は固形燃料化設備を使い、燃料にする前の水分を含む汚泥を熱風で乾燥させ、長さ1センチほどの粒状に固めた。今後、市有施設の花壇を中心に活用先を増やし、一定の安全性や有効性を確認できれば、学校などに無償で配布することも検討するという。

 肥料の流通も見据え、市は4月25日付で「肥ごのじゅんかん肥」の名称で登録した。農林水産省によると、熊本県内では山鹿市、長洲町、苓北町、山江村も下水汚泥を活用した肥料を登録している。

 上下水道局は「下水汚泥が資源として生活に役立っていることを知ってもらう機会にしたい」としている。(上村彩綾)

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